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津波、最終跳躍で逆転 「沖縄に恩返しできた」 男子走り幅跳び<かごしま国体・2023>


津波、最終跳躍で逆転 「沖縄に恩返しできた」 男子走り幅跳び<かごしま国体・2023> 成年男子走り幅跳び 決勝 6回目の跳躍で8メートル7の大会新記録を記録する津波響樹=15日、鹿児島市の白波スタジアム(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 琉球新報社

 特別国民体育大会「燃ゆる感動かごしま国体」第9日は15日、鹿児島県内各地で行われた。陸上の成年男子走り幅跳びの津波響樹(大塚製薬)が8メートル07で優勝した。少年男子重量挙げ96キロ級の石川太陽(嘉手納高)はスナッチ119キロ、ジャーク151キロ、トータル270キロで2位に輝いた。女子49キロ級の伊良皆理絵(県協会)はスナッチ68キロ、ジャーク92キロ、トータル160キロで4位に入った。55キロ級の大城朱萌(鹿児島県スポーツ協会)は7位。軟式野球の成年男子は準決勝で敗れ、16日の3位決定戦に臨む。弓道成年女子は遠的で5位に入った。自転車ロードレース女子(47・5キロ)の成海綾香(鹿児島県スポーツ協会)は6位に入った。仲村陽子(FIETS)は9位だった。


成年男子走り幅跳びで、8メートル7の大会新記録で優勝した津波響樹=15日、鹿児島市の白波スタジアム(小川昌宏撮影)

 成年男子走り幅跳び決勝で、2度追い込まれた津波響樹(那覇西高―東洋大出、大塚製薬)だったが、大ジャンプを見せて8メートル07の大会新記録で逆転優勝した。「大好きな沖縄に最高の結果で恩返しできた」と笑顔だった。

 1、2本目はファウルとなったが、踏み切りを越えたのは約1~2センチとわずかで、ジャンプ自体の距離は出ており調子は悪くなかった。しかし、大学の後輩である藤原孝輝が1本目で8メートル04を出したこともあり「ファウルが続いて焦りはあった」。上位8人に残らないと後半に進めないため、追い込まれた3本目は「踏み切りを取りにいくのではなく刻めた」と7メートル92で3位に食い込んだ。

 後半も4、5本目とファウルが続く苦しい状況に。それでも「ファウルしてもいいという気持ちじゃないと優勝に届かない。記録を狙うだけ」とネガティブな感情はなかった。迎えた最終6本目は観客席からどよめきも出るジャンプで、津波も思わずガッツポーズ。8メートル07で逆転。その後、藤原も津波の記録を超えられず、優勝を決めた。

 今季はファウルが多かったという。2019年に自己ベスト8メートル23を出して以降で最高の記録となった。「今も苦しんでいる」と気持ちを吐露するように、近年記録は伸びていなかった。それでも「ベストを出すのは簡単じゃないが、遠くないことだと思う」と前を向く。

 「今季ラストでいい結果を出せたが、世界陸上や五輪を狙うなら4、5月から出すべきだ」。自らに厳しくも、来年に控えるパリ五輪に向け、いい形で今季を締めくくった。
 (屋嘉部長将)