県が取り組む地域外交について有識者が提言する「地域外交に関する万国津梁会議」の2回目の会合が27日、県庁で開かれた。県側は年度内に策定する地域外交基本方針(仮称)の骨子案を提示。分野別の戦略で平和関連の施策を「地域外交の重要な要素」と位置付け、国際機関や国連機関の誘致に向け前向きに検討する。軍事衝突の回避や国民保護など危機管理分野でも地域間の対話を進めると明記した。
沖縄の米軍基地問題について、日米両政府への要請のほか「国連などの国際社会への発信も行う」とした。一方、軍事的な安全保障は国家間外交の役割だとして、県は平和の重要性などに関する情報発信や、海外自治体との連携による地域の緊張緩和を図るとした。
骨子案は、地域外交で重点的に取り組む地域としてアジア太平洋地域や米国、県系人が多い中南米を挙げた。
地域別に取り組む方向性について中国本土では「琉球王国時代からの歴史的なつながりを活用した交流の拡大」とし、台湾は「地理的な近接性、歴史的なつながりに基づく交流の促進」を行う。
地域外交について自治体、企業、NGO、市民など「さまざまな主体が国境を越えて多様な分野で国際交流、技術協力などの活動を展開し、国家間の外交を補完する」ものと定義した。
骨子案に対し、委員の富川盛武前副知事は、国際情勢を踏まえ、インドなどグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国との連携強化を要望した。
元外務省沖縄事務所副所長で沖縄グローバルセンター代表の官澤治郎氏は、外交政策は「経済、社会政策と異なり、国民に(効果が)伝わりにくく、予算や人的体制が組みづらい」側面があるとし、予算や人員面などで数値的な目標を設定することを提案した。(知念征尚)
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