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データが語る子どもたちの読書(1) 知念秀明(県教委高校生読書リーダー育成研修担当)<未来へいっぽにほ>


データが語る子どもたちの読書(1) 知念秀明(県教委高校生読書リーダー育成研修担当)<未来へいっぽにほ> 知念秀明(県教委高校生読書リーダー育成研修担当)
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 「読書を好きでない子どもが、ひと月に50冊以上の本を読んでいる」と聞いたら、皆さんはどのような感想を持ちますか。

 県教育委員会が2022年度、県内の小中高校生を対象に実施した読書に関する調査では、回答した子どもたちの半分以上が「本を読むことが好き」と回答しました。一方で「好きではない」と回答した子どもたちは小学生6%、中学生10%、高校生15%でした。もし「運動が好きですか」という質問であっても、やはり「好きではない」と回答する人は一定数いるので当然と思われます。この調査から、興味深い傾向が二つ見つかりました。

 一つ目は、小中学生において「本を読むのは好きではない」と回答しているにもかかわらず、1カ月に50冊以上も読んでいる子どもたちがかなりの数いるということです。

 二つ目は、高校生で「本を読むのは好きではない」と回答している生徒のほとんどは、本を1冊も読まない、いわゆる「不読者」になっていることです。全国学校図書館協議会による調査でも高校生の不読率は51.1%で、全国の高校生の半数は1カ月に1冊も読んでいないことになります。

 小中学校の先生や司書に聞いてみると、学校で本を読むことが強制されたり、読書冊数に応じて図書カードなどの景品が与えられたりすることがあるそうです。心理学的でいう外的動機づけで、子どもたちに読書を促していることが分かります。中には「居残り読書」なるものも存在するそうです。

 一般的に高校生から急激に高まる「不読率」ですが、その解決のヒントは小中学校段階での読書のあり方にあるかもしれませんね。