社会
連載「希望この手に」

行政の実態把握必要 仕事掛け持ち、迎えは午前3時 夜間保育所

夜間保育所で、睡眠を取る子どもたち

 本島南部の繁華街にある認可外の夜間保育施設。午前0時すぎ、乳児の泣き声が室内に響く。ベビーベッド十数台が並ぶスペースでは、保育士らがおむつ交換や授乳のため慌ただしく行ったり来たりする。哺乳瓶に両手を添えて、自分でミルクを飲む乳児たち。

 眠りに就けない子どもたちが抱っこをせがむ。保護者の迎えが始まると、呼び鈴に反応し、一斉に玄関に目を向ける。奥の一番広い部屋では、幼児や小学生が肩を寄せ合いながら寝息を立てている。
 「経済的な厳しさを抱えている保護者がほとんど。ひとり親家庭が多い。沖縄は賃金の低い事業所が多いから、(二つの仕事を掛け持つ)ダブルワークが当たり前になっている」。夜間保育施設の園長は預けに来る親の実情を説明する。
 この園は定員44人で、生後2カ月から小学生までを受け入れている。保護者の職業は、居酒屋経営、コールセンター従業員、スナック勤務などさまざま。平日は午前3時、週末は午前5時ごろが迎えのピーク。園長は夜間保育に対して「偏見を持っている人がいることが問題。さまざまな働き方があり家庭環境がある。大切なのは親と子の生活を支える姿勢だ」と実感を込める。
 午前2時ごろ、30代の母親が3歳の男児と6歳の女児を迎えに来た。ひとり親家庭で昼間はホテルで働いている。ホテルの給料では生活が成り立たず、週5日はスナックでアルバイトしている。この母親は「安心して働ける。とても助かっている」と話した。
 繁華街から外れた場所にある他の認可外夜間保育施設。24時間開所し、夜を過ごす子どもは数人。この園長は「夜間預ける保護者のほとんどが困窮している」と語る。「子どもにとって本来は夜、家庭で過ごせる方がいいのでは」とジレンマを抱きながら「行政は保護者向けの資格取得講座を積極的に実施し、昼間の仕事だけで生計が成り立つような仕組みを整えてほしい」と望んだ。
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 経済的な困窮を抱える家庭が、夜間保育施設を利用する傾向は全国でも共通している。認可夜間保育園でつくる「全国夜間保育園連盟」が2010年度実施した利用者調査では、ひとり親家庭の利用割合は約25%。15時間以上利用する保護者の約6割が母子家庭で、遅い時間ほど母子家庭の利用率は高い。子どもを迎える時間が午後10時を超える母子家庭を保育料階層別に見たところ、生活保護階層と住民税非課税階層、所得税非課税階層の低所得者層が約6割を占めた。
 県内では3カ所ある認可夜間保育園の定員は計90人。県や那覇市に届け出ている認可外の「保育施設・ベビーホテル」は15カ所あり、昨年4月の現況届などに基づく入所定員・入所者数は合計325人。認可外が夜間の保育ニーズの主な受け皿になっている。
 認可外の保育料は0~1歳で2万円台が多い。認可園なら所得に応じた保育料になるため、経済的に厳しい世帯が認可園を利用すれば、保育料の負担が軽くて済む。だが実態としては認可園への待機児童はほとんどいない。県や那覇市は認可外に集中する理由や夜間の保育ニーズを十分把握しておらず、夜間保育所の環境整備に手が届いていない。元コザ児童相談所所長の山内優子さんは「子どもの貧困対策の中でも夜間保育所への支援は重要。行政は現場に出向いて、実態を調べてほしい。夜間学童の整備も必要だ」と指摘した。(子どもの貧困取材班)










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