社会
連載「希望この手に」

潜在的需要見逃され 認可園希望、複雑な手続き 夜間保育所

夜間認可保育園で夕食を食べてシャワーを浴びた後、就寝までの時間を過ごす子どもたち

 県内の夜間保育は、認可外保育施設が子どもたちの主な受け皿になっている。認可園3カ所(定員90人)に対して、県や那覇市が把握している認可外施設は15カ所で定員・入所者数は計325人。困窮している世帯が認可園を利用すれば保育料が抑えられる。にも関わらず、認可園整備は一向に進んでいない。

 認可外の園長や保護者からは、認可園の保育時間が「保護者の働く時間に合っていない」「最初から諦めている人がいる」という声がある。
 3月上旬、本島中部にある認可外の保育施設に午後7時40分すぎ、近所に住む30代の母親に手を引かれ、2人の子どもが登園してきた。母親は飲食店で勤務。県外出身で数年前に離婚し、近くに頼れる身内はいない。離婚後に再就職をした。
 市内にある夜間の認可園への入所も考えたが、「午前2時まで」の預かり時間がネックになった。仕事が終わるのは午前5時半か6時ごろ。預けられる時間が勤務時間と合わないため、認可園への入所を諦めた。現在、子どもを通わせている認可外は家庭的な雰囲気で「保育内容にも満足している」と言う。ただ公的補助がわずかなため、保育料が高めになる。母親は2人合わせて月額計4万4千円を払っており「せめて補助があれば」と切々と語る。
 県内の夜間の認可保育園は、あすなろ第2保育園(名護市)で通常保育が午後10時までで、延長保育が午前0時まで、室川夜間保育園(沖縄市)は延長保育が午前2時まで。2園は「早朝まで預かりを希望する保護者はいない」と説明する。那覇市の玉の子夜間保育園は通常保育が午前0時までで、延長保育は午前6時までだ。これに対して、認可外は11園が早朝6~8時までの預かりに対応。24時間開所しているところもある。
 那覇市内で働く40代女性は、子どもが3カ月~2歳までの間、24時間対応する認可外の保育所を利用していた。当時、市内には早朝まで対応する認可園がなかった。自営業だが就労時間が不規則で、子どもの世話を頼める人がいなかった。月額5万6千円の保育料は重かったが「やむにやまれぬ思いで預けた」とその必要性を強調する。
 市町村窓口で認可園への入所を申し込んで空きを待つ待機児童は、夜間の場合はほとんど人数として上がってこない。県は「ニーズがなければ、すぐに(認可の)夜間保育所設置にはならない」と当面、様子を見守る構えだ。
 だが実態は潜在的ニーズが隠れて見えず、すくい取られていない。
 多くの子どもたちが公的保育につながらない背景には、認可園への申し込みに不可欠な勤務証明書や収入を証明する書類の提出が難しいという保護者側の事情もある。
 那覇市の認可外の園長は「アルバイトだったり、昼と夜を掛け持ちで働いていたりする保護者は勤務証明書が取りにくい。証明書の提出を求めると、子どもを預けに来なくなるのではと心配になる」と保護者の実情を推し量る。
 県ファミリーサポートセンター連絡協議会の與座初美会長は、夜間の認可保育園が増えない現状を憂う。「乳幼児期は人間の基礎をつくる大事な時期だ。公的な補助を入れ、認可園を増やしてほしい」と強調する。「保護者が何に困っているのかを聞き、入所手続きを一緒に考える人材を行政に配置し、寄り添う支援をしてほしい。若年で出産した人の中には、夜間の就労経験しかない母親もいる。職業選択の幅を広げる支援も必要だ」と提案した。
(子どもの貧困取材班)










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