辺野古サンゴ訴訟が即日結審 判決期日は追って指定 福岡高裁那覇支部


辺野古サンゴ訴訟が即日結審 判決期日は追って指定 福岡高裁那覇支部 沖縄県名護市辺野古の沿岸部。奥の大浦湾側には軟弱地盤が見つかっている=5月
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 沖縄県名護市辺野古の新基地建設に向け沖縄防衛局が進めようとする大浦湾からのサンゴ類移植を巡り、農林水産相が県に移植を許可するよう是正の指示をしたことは違法だとして、県が指示の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が14日、福岡高裁那覇支部(三浦隆志裁判長)で開かれ、即日結審した。判決期日は追って指定される。


 県側は、新基地建設事業を推進する内閣の一員である農相が、審査庁と関与庁のそれぞれの立場を恣意的に行使しているとして、「(指示は)権限を不当に連結して乱用するものとして違法・無効である」と批判した。


 国側は、許可しない県の対応が漁業法や地方自治法所定の法令規定に違反していると指摘。また「著しく適正を欠き、かつ明らかに公益を害している」として指示の適法性を強調し、県の請求棄却を求めた。


 防衛局は2022年7月、軟弱地盤に生息するサンゴ類約8万4千群体の特別採捕許可を県に申請。県は同年9月、防衛局が設計変更申請の承認を得ておらず、移植の必要性が認められないとして不許可とした。防衛局が同月、農相に審査請求し、農相は同年12月に不許可処分を取り消す裁決をした。


 それでも許可しない県に対し、農相が23年3月、県に許可を指示。県は5月、指示を不服として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(係争委)に審査を申し出た。係争委が7月、農相の指示は違法ではないと判断し、県は8月に不服として提訴した。


 新基地建設を巡る県と国の裁判は14件あり、サンゴ移植の訴訟は2件目。大浦湾の軟弱地盤改良工事の設計変更申請の承認に関し、国土交通相の関与を巡る訴訟で県の敗訴が9月までに確定しており、サンゴ訴訟に関して厳しい見通しもある。