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「ムーチー結び」、月桃の茎からひも!?【島ネタCHOSA班】


「ムーチー結び」、月桃の茎からひも!?【島ネタCHOSA班】
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

わが家の庭にサンニン(月桃)が生い茂っています。今月18日(旧暦12月8日)の「ムーチー(鬼餅)」に月桃ひもでムーチーを結びたいのですが、ひもの作り方から結び方まで、一から教えてください。

(那覇市 ムーチービーサン)

今どき、手作りや市販を問わずムーチーを結ぶひものほとんどがビニール製。「蒸したサンニンのかぐわしい香りのムーチーにビニールひもは味気ない」と思うのは調査員だけではないようで、月桃製のひもにこだわるグループが作業中と聞いて駆け付けました。

現場は南城市の、とある畑。刈り取ったサンニンの茎の束を抱えた「NPO法人あきみよ」の代表理事、棚原洋子さんとメンバーが迎えてくれました。同NPOは、沖縄の旧暦の暮らしにまつわる結びの伝承も活動の一環。「手間暇掛かる月桃のひも作りの工程はやりがいがある」と語る一行の作業に密着しました。

1.たたく、煮る、干す

(1)厚く堅い皮の層の茎を木づちやハンマーでたたいて繊維をつぶす。
(1)厚く堅い皮の層の茎を
木づちやハンマーでたたいて繊維をつぶす。
(2)たたいた茎を大鍋で2時間ほど水から煮る。柔らかくなった茎の皮を一枚ずつ剥がす。
(2)たたいた茎を大鍋で2時間ほど水から煮る。
柔らかくなった茎の皮を一枚ずつ剥がす。
(3)皮をトコブシの貝殻や包丁の背でしごいて皮を薄くして繊維を採る。
(3)皮をトコブシの貝殻や包丁の背で
しごいて皮を薄くして繊維を採る。
しごいた皮(繊維)は1週間ほど天日干しにして、乾いたら適度な幅に割いてひもや縄を綯(な)う。縄を綯ったり、ひもを結ぶ際は少し湿らすと扱いやすい。
しごいた皮(繊維)は1週間ほど天日干しにして、乾いたら適度な幅に割いてひもや縄を綯(な)う。縄を綯ったり、ひもを結ぶ際は少し湿らすと扱いやすい。

2.月桃ひもの「稲結び」

稲結びとは、刈り取った稲を手早くわらで束ねる農作業の一つ。覚えておくと便利な日常の結びです。

①②親指で月桃ひもを押さえて、親指の上を1周する(輪になる)。さらに親指の下をくぐり1周する。

残ったひもを二つ折りにして親指で押さえた輪に差し込み、巻きはじめの親指で押さえたひもAを引っ張る。

3.月桃縄のサギムーチー

1段目~7段目のムーチーまで約67センチ。月桃なわ約350メートル×2本で、稲結びを外したムーチー7個を結び目に挟み込んで提げる。

月桃縄各1本を中心より2本に折る。
さらに2本に折る。
下を輪にして、2連の縄でムーチーを7段まで挟んでいく。
まず1段目(輪)にムーチーを挟んだら、裏の縄2本を表の縄2本の間をくぐらせ
交差した結び目にムーチーを挟む(2段目)。
7段目まで同様に挟んだら稲結びで留める。
残りの縄を三つ編みにして、10センチほどの輪を作り提げる。

(2024年1月4日 週刊レキオ掲載)