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「普通ならすぐ止める」 墜落後も1週間は上空を飛行、全オスプレイ停止にも宜野湾市民「遅すぎる」


「普通ならすぐ止める」 墜落後も1週間は上空を飛行、全オスプレイ停止にも宜野湾市民「遅すぎる」 米軍普天間飛行場に駐機されたMV22オスプレイ周辺を歩く米兵ら=7日午後0時58分、宜野湾市(小川昌宏撮影)
この記事を書いた人 琉球新報社

 【宜野湾】米軍は7日、世界中で運用している全てのオスプレイの飛行を停止したと発表した。鹿児島県屋久島沖での墜落事故発生から1週間以上が経過した後の対応に、米軍普天間飛行場周辺に住む宜野湾市民からは「遅すぎる」「ずっと不安だった」と不満の声が上がった。

 「バイバイ」-。親に手を引かれた園児が手を振ると、緑ヶ丘保育園の神谷武宏園長(61)は笑顔で「また明日ね」と声をかける。屋久島沖での墜落後もオスプレイが日常的に園上空を飛行するのを見てきた。「ちょっと遅すぎるよね。普通だったら原因究明されるまでは止めるんじゃないかな」といら立ちを見せた。

 2017年12月7日に保育園に米軍機の部品が落下した事故から、この日でちょうど6年がたった。当時の日本政府の対応を振り返り、「今回も米国ありきな対応だった。国民の命を守る立場に立つのであれば、米国に飛行停止を強く求めるべきだった」と指摘し、「米国であろうともの申す政府であってほしい」と願った。

 昼時の慌ただしい時間が過ぎた市野嵩の飲食店では、店主の男性(73)が一息つきながら「今日は少し静かだな」と漏らした。「昨日(6日)もオスプレイの腹を見たよ。重大な事故が起きたのにいまさらだよな」とぼやいた。

 午後4時頃、市宜野湾のいこいの市民パークにはサッカーボールを追いかける少年やウオーキングに励む地域住民の姿があった。遊具で遊ぶ1歳の息子を見守っていた事務職の女性(37)は、飛行停止の判断に安心する様子を見せた。「普段から騒音を不快に感じていたけど、子どもが生まれたことで、今回の事故の後もオスプレイが飛び続けている様子を特に不安に思っていた」と話した。 

「墜落したことを知ると、事故に巻き込まれたらどうしようと考えてしまう」。市宜野湾のバス停で普天間行きの便を待っていた中学1年生の女子学生(13)は不安を打ち明けた。学校でもオスプレイの飛行をよく見る。女子生徒は「事故の原因をしっかり究明して、対策を練ってほしい」と願った。(名嘉一心)