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夜のクリニックが自習室に!?【島ネタCHOSA班】


夜のクリニックが自習室に!?【島ネタCHOSA班】 料理教室などを開催する部屋と待合室を使用。待合室にはカウンターテーブルも取り付けたそう
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

首里城下町クリニックが夜に自習室を開放していることを知りました。おいしい夜食も低価格で食べられるそうです。興味があるので、ぜひ調べてください。

(那覇市 オール・エイコ)

医療機関であるクリニックが自習室を開放? いったいどういうことなのでしょうか。さっそく調査を開始しましょう。

中高生に無料開放

那覇市松川にある首里城下町クリニック第一を訪れると、保健師の田名彩子さんが出迎えてくれました。

田名彩子さん
田名彩子さん

「(自習室は)月曜と水曜の午後6時から9時半まで、中・高校生を対象に開放しています」と田名さん。地元の学生を中心に15~25人ほどが利用しているそうです。

230回以上続く月1開催の「地域むけ医療講演会」を夜間に開催している首里城下町クリニック。自習室を始めたきっかけは「月1回だけでなく、夜間のクリニックをもっと有効活用したかったのと、娘が県外の大学に進学して子育ても落ち着いたタイミングだったので」と振り返ります。子育てを通して学ぶ環境の大切さも実感したといい、近隣に数件あった塾が閉鎖されたことも受け、2019年9月に開設したといいます。

ボランティアの学習支援者として、琉大医学部の大学生たちも在室。生徒たちの質問に対応してくれます。田名さんは「中高生のロールモデルにもなるし、大学生にとっても社会を見ることができるのでは」と交流から生まれる可能性に期待しています。

ワンコインメニューも提供

利用者を対象に夕飯を100円で提供しているのも自習室の特徴です。もともと同クリニックでは管理栄養士による料理教室を定期的に行っていることから、「調理師もいるし、キッチンもあるので、料理の提供に協力してもらえるのでは…」と相談したそうです。食事を希望する人は、食べたい時間を入室時に申請すると、その時間に温かい食事が運ばれてきます。自習室は企業の助成金の他、賛同する企業や団体などからの食材の寄付も受けているそうで、寄付された食材を元にメニューを考えています。

この日の夕食は中華丼とワカメスープ。代金は受付に置いてある貯金箱に入れます
この日の夕食は中華丼とワカメスープ。代金は受付に置いてある貯金箱に入れます

自習室を訪れると、すでに20人ほどが集まっていました。自習している生徒や、食事をしている生徒など、それぞれのペースで過ごしています。元気な中学1年の男子生徒たちに自習室の気に入っているところを聞くと「100円でおいしいご飯が食べられるところ!」「明るくて勉強しやすいです」と答えてくれました。高校2年の女子生徒たちは「勉強時間が増えました」「冷暖房も付いていて勉強がはかどります」と言います。高校2年の男子生徒は「自分のペースでしっかり勉強できるのが気に入っています。うるさ過ぎず、静か過ぎない空間なので集中しやすいです」と話してくれました。ボランティアの大学生は「質問してくれると教えがいがあります。自分も勉強できているし、いいシステムだと思う」と語ります。

「学ぶことで自分の夢を切り開いてほしい」と言う田名さん。生徒たちの成績アップにも期待したいと話します。同じ時間帯に学習支援塾「ユイマール塾」に待合室の半分を貸しているので、情報共有しながら協力していきたいといいます。

夜に開放されるクリニックの自習室。地域の健康だけでなく、子どもたちの将来を応援して支えてくれる温かい場所でした。

町の自習室

那覇市松川3-18-30 首里城下町クリニック2階
TEL 080-4312-9200
※祝日・講演会開催日は休み

(2023年12月14日 週刊レキオ掲載)