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【深掘り】玉城知事、代執行訴訟で最高裁に上告 辺野古阻止へ「一縷の望み」


【深掘り】玉城知事、代執行訴訟で最高裁に上告 辺野古阻止へ「一縷の望み」
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 玉城デニー知事は公務に復帰した27日、代執行訴訟について最高裁に上告した。28日に予定されている国交相による代執行を経て大浦湾側の本格的な埋め立て工事が可能になる。年明け1月12日にも着工見込みで、工事を止めるには最高裁で逆転勝訴するしかない。辺野古新基地建設阻止に向けて「一縷(いちる)の望み」(県関係者)を託す形になるが、国の姿勢を追認してきたこれまでの司法判断を踏まえると、辺野古新基地建設問題の解決につながるような判決を期待することは難しい。 

 米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古の新基地建設を巡っては、これまで県と国の間で14件の訴訟が行われ、うち最高裁に上告した6件全てで県が敗訴している。国交相からの是正の指示の取り消しを求めた訴訟の9月の最高裁判決でも、県が主張した不承認の要件について踏み込まず、形式的な判断で県の上告を棄却した。

 一方で、辺野古の基地建設は長い時間を要する工事だ。軟弱地盤の改良工事の実現性といった根本的な疑念が解消されないままでは、同様の事態が繰り返される懸念が拭えないままだ。高裁判決でさえ付言で、今後も設計変更の必要が生ずる可能性があるとして「繰り返し訴訟による解決が図られることは、国と地方の関係をみた場合、必ずしも相当なものとは言いがたい」と指摘している。司法が問題解決に向けて、主導的な役割を果たすべきだ。

 今回は地方自治法に基づく代執行の初の最高裁判断となり、代執行の3要件についてどのような判断をするかは沖縄のみならず全国の地方自治体にも関係することから、注目が集まる。結論ありきで当てはめていくのではなく、歴史の審判に耐えうる実質的な審理が求められる。 

(沖田有吾)