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特定重要拠点の指定で根強い危惧 有事で攻撃対象にも 10・10空襲では那覇港も被害に


特定重要拠点の指定で根強い危惧 有事で攻撃対象にも 10・10空襲では那覇港も被害に 空襲によって炎上する那覇市の港湾施設=1944年10月10日(県公文書館所蔵)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 離島などの空港、港湾が特定利用空港・港湾(特定重要拠点)に指定され「軍民共用」となることで、有事の際に「標的」となることへの危惧は根強い。政府は空港や港湾の強化は「(住民を避難させる)国民保護にも役立つ」と強調するが、識者は「軍事で使われる施設となれば当然ながら攻撃の対象にもなる」と指摘している。

 国際人道法では、民間人と軍人や、民用物と軍事目標を区別する軍民分離の原則が採られ、分離した上で軍事目標のみを攻撃の対象とすることが求められている。

 ジュネーブ諸条約追加議定書では、軍事目標以外の民用物について「攻撃または復仇(ふっきゅう)の対象としてはならない」と定めている。

 一方で軍事目標の定義としては、性質や位置、用途などが軍事活動に効果的に資するもので、全面的または部分的な破壊、奪取または無効化が、その時点で明確な軍事的利益をもたらすものに限るとされている。

 自衛隊と民間が共用する空港や港湾などが、軍事目標と認定される恐れは拭えない。1944年に米軍が沖縄各地を爆撃した10・10空襲では、那覇港などの港湾施設や船舶も攻撃の対象とされた。 (沖田有吾)