新基地「壮大な愚行」 知事、係争委で埋め立て批判 国「承認に瑕疵ない」


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
国地方係争処理委員会に出席した翁長雄志知事(左)=22日、総務省

 【東京】米軍普天間飛行場の移設問題を巡り、翁長雄志知事による名護市辺野古の埋め立て承認取り消し処分に対する石井啓一国土交通相の是正指示の適否を審査する国地方係争処理委員会は22日、総務省内で第3回会合を開き、県、国の双方から意見を聞いた。県からは翁長知事が意見陳述し、辺野古の埋め立ては「人類共通の財産を地球上から消失させた壮大な愚行として後世に語り継がれることになりはしないかと危惧している」と訴えた。国側は「承認には瑕疵(かし)がなく、万が一瑕疵があったとしても関係者の信頼保護の見地から取り消しは許されない」などと主張した。同委員会は意見陳述後に非公開で議論し、県と国に質問書を送ることを決めた。県が求めている稲嶺進名護市長らの参考人陳述は次回以降の委員会で検討される。

 委員会では(1)国の国防・外交上の判断が公有水面埋立法の法令解釈で審査される対象になり得るか(2)埋め立て承認、承認取り消しの双方によって生じる不利益性(3)埋め立て申請の瑕疵を巡る見解│などについて県と国の意見が分かれた。
 意見陳述で翁長知事は「銃剣とブルドーザー」によって土地が強制収用されてきた歴史に触れつつ、大浦湾の自然環境の豊かさなど環境保全の重要性などに言及し、仲井真弘多前知事による埋め立て承認が公有水面埋立法の要件を満たしていないと指摘した。知事は「新たに沖縄県内に恒久的な基地を建設することは米軍基地の集中に起因する過重な負担、被害をさらに将来にわたって沖縄県に固定化することを意味する」などと訴えた。
 国交相の代理人として意見陳述した法務省の定塚誠訟務局長は翁長知事の承認取り消しについて、裁量権の逸脱・乱用で違法だなどと指摘し「取り消しによって生じる不利益は極めて甚大」などと述べた。前知事の承認によって米国議会で在沖米海兵隊のグアム移転予算の凍結が解除されてきた経緯などに触れ、日米同盟維持の観点からも辺野古移設が合理的だなどと主張した。
 係争委は質問書について、県に対して5月2日までに書面で回答するよう求めた。県から回答を得た後、国交相にも質問書を発出し、5月9日までの回答を求める考え。
英文へ→Before dispute committee, Okinawa Governor calls Henoko land reclamation “egregious act of folly”