県産コーヒーの可能性を追求する仙人!?【島ネタCHOSA班】


県産コーヒーの可能性を追求する仙人!?【島ネタCHOSA班】
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今帰仁村に「沖縄珈琲(コーヒー)仙人」がいると聞きました。コーヒーをはじめ、いろいろな果物を栽培しているようです。どんな人なのかとても興味があります!ぜひ調べてください。

(宜野湾市 ヤムヤム・クイナ)

「沖縄珈琲仙人」とは気になりますね~。依頼人によると、今帰仁村諸志で「花野果(はなやか)」という農園を営んでいるそうです。さっそく会いに行ってきました。

コーヒー栽培を研究

緑豊かな山間部を進んでいくと、「花野果」の看板を発見。到着すると、白いひげをたくわえた“仙人”が出迎えてくれました! 代表で「沖縄珈琲仙人」の金城重信さんです。

金城重信さん。大学と大学院で経営を学んだ経験を生かし、研究に励んでいます

約3000坪はあるという農園に足を踏み入れると、いくつものビニールハウスが建ち並んでいます。金城さんが運営する「花野果」は、無農薬、無化学肥料で農業を展開。15品種のコーヒーの木や35品種のバナナ、パパイヤ、マンゴーなどを栽培する他、青い卵を産む南米チリ原産の鶏「アローカナ」やフランス料理でよく利用される「ホロホロ鳥」も飼育しています。

コーヒーの木。敷地内で約500本のコーヒーの木を栽培しています
金城さんが飼育するアローカナが産んだ薄緑色の卵。村内でも販売中

「いつもコーヒーのことばかり考えている」という金城さん。コーヒーの栽培や歴史などの研究にも従事していて、現在は沖縄産コーヒーの論文を執筆中だといいます。「沖縄の農家が300年生き残る経営システムを考えている」と語り、ヨーロッパで代々続くワイナリーのように、持続可能な沖縄産コーヒーの栽培に期待しています。現在モデルケースを自ら構築しようと栽培に取り組み、県内外、国内外からの視察が来たこともあるそうです。

金城さんは、高校卒業後に上京し、アルバイトで結婚式場やコーヒーハウスで働くうちにコーヒー好きに。帰沖後は、サラリーマン生活を経て、亡くなった弟さんの農園を引き継ぎ、2014年からコーヒーの栽培を始めました。ひげを生やしていたこともあり、その頃から「沖縄珈琲仙人」と名乗り出したそうです。「コーヒーといったら沖縄県と言わせたい」と意気込み、2017年には北部でコーヒー栽培をする人たちと「沖縄珈琲観光協会」を設立。会長としても活動しています。「自家栽培・自家焙煎(ばいせん)のカフェが県内で増えれば、各農園を巡りながら味比べも楽しめ、コーヒー産業の発展につながるのでは」と期待している金城さん。生産だけでなく、加工、販売まで手掛ける6次産業化を目標に、ノウハウを共有して協力し合いながら、県全体のコーヒー産業の活性化や観光集客を推進したいといいます。

目標は「珈琲王国」

体験農園としても展開している金城さんのコーヒー畑では、コーヒーの実の収穫から焙煎、試飲まで楽しめるプログラムを提供しています。以前は別の場所で金城さんの育てたコーヒーが飲めるカフェを経営していましたが、コロナ禍の影響で閉店。現在は農園内にカフェをオープンするため、準備中だといいます。

金城さんの最終目標はこの農園を珈琲王国にすることです。利用者が増え、大繁盛した暁には「沖縄珈琲王国」と名称を変え、王様になる予定だそうです! 「王様になったら、琉球王朝の王様の格好をするよ!」と笑顔を見せる金城さん。次は王様になった金城さんに会えることを心待ちに、農園を後にした調査員でした。


花野果
今帰仁村諸志2064-11
TEL 090-9780-8258

(2024年2月15日 週刊レキオ掲載)