【ワシントン=問山栄恵本紙特派員】翁長雄志知事が16日開催した米有識者会議では、有識者からは辺野古移設を「唯一の解決策」とする日米両政府の立場を疑問視する意見のほか、辺野古移設計画以外の代替案につながる提起もあった。だが一方で、辺野古移設を進めるべきだとの意見も上がった。
会議には日米関係や安全保障を専門とする8人が参加。中国の軍事的台頭を踏まえ、「現行の辺野古移設計画よりも効果的な案でないと説得性がない」との指摘もあった。
また大統領選で共和党の指名獲得を確実にした実業家ドナルド・トランプ氏が外交政策で在日米軍撤退や日米安保条約の見直しに言及していることを踏まえ、「大統領選の結果で(普天間問題が)どうなるか分からない」との声が上がったという。
翁長知事からは辺野古移設を巡る国と県の代執行訴訟の和解について説明したほか、新基地建設に反対する県民世論を踏まえ、建設阻止に向けた自身の考えを伝えた。
有識者会議の座長を務めたマイク・モチヅキ米ジョージ・ワシントン大学教授は16日、記者団に「できるだけ早く沖縄の負担を軽減し、普天間を返還するとの意見があったが、辺野古を進めるか、ほかの案を見つけるのかということでさまざまな意見があった」と説明。さらに「新しい政権が誕生して落ち着くまで、この問題を米国が取り上げることはできない。しかし、この時期を使い、真剣に分析し、ほかの案ができるのであれば一番望ましい。どうやって今の膠着(こうちゃく)を乗り越えるのかが課題だ」と強調した。
米ジョンズ・ホプキンス大高等国際問題研究大学院(SAIS)ライシャワー東アジア研究所のケント・カルダー所長は記者団に「米国と沖縄が話し合いを続けることは望ましい」と述べるにとどめた。