<「希望この手に」シンポに寄せて>3 息の長い支援必要


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上間陽子さん 琉球大教授
 生活指導を専門とし、いくつかの学校のアドバイザーを務めている。その中で子どもたちの性被害が見えてきた。2012年には、県内の風俗で働く人の生育歴を聞く調査を始めた。すると中学から働いている、働いている店に中学生がいるという話に出合った。

 中学から風俗で働く子は家庭環境が厳しい状況にある。子どもとして当然与えられているべきお風呂やご飯、ゆっくり話を聞いてもらうという環境がない。このような子がかなりいる。

 今、子どもの貧困の対策として、学校をプラットホームにするという話が出ている。学校の先生は頑張っているが、学力テスト対策の影響で疲弊している現状がある。今回の貧困対策は、学力の問題にスライドし、学校で補習をする、無料塾につなぐという取り組みになっている。だが、テストの点数を上げるだけの支援では足りない。

 子どもが「分からない」と言える環境があるのか、信頼できる友達や大人が普段の生活にいるのか。子どもが抱えてきた欠乏感を埋め、自尊心を持たせることが重要だ。

 自尊心が欠如した子どもと信頼関係をつくるのは容易ではない。「かわいそう」と思ってやると続かなくなる。子どもがすぐに変化しなくても、みんなが幸せな社会の方がいいので支援すると考え、ドライに割り切ることも必要だ。息の長い取り組みが求められる。必要とされるのはタフな支援者だ。
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 シンポジウム「希望この手に~沖縄の貧困・子どものいま」に向けて、登壇者に伝えたい思いを聞いた。シンポは20日午後6時半からパレット市民劇場で開かれる。入場無料。整理券が必要で、琉球新報社本社・各支社、沖縄テレビ、ラジオ沖縄で配布。問い合わせは社会部(電話)098(865)5158。