【糸満】1994年にアフリカ・ルワンダで起きた大虐殺の生存者で、首都キガリ虐殺記念館の元ガイドのクロード・ムガベさん(38)が21日、来県した。県内学生有志の案内で、糸満市の平和祈念公園や、ひめゆり平和祈念資料館を巡り、沖縄戦について学んだ。
ルワンダ大虐殺は、多数派のフツ人主体の政府軍や民兵が少数派のツチ人やフツ人穏健派を虐殺し、100日間で80万人以上が犠牲となった。
沖縄戦や基地問題について修学旅行生に伝える活動をしている県内の大学生14人が、「他地域の体験を知ることは、沖縄のことを知ってほしいと願うことと同じだ」と、大虐殺について学ぶためにムガベさんを招いた。
ツチ人のムガベさんは5人きょうだいの長男。大虐殺によって父と妹を亡くし、当時妊娠6カ月だった母らと共に生き延びた。親戚のうち約60人が命を奪われたという。現在は、ルワンダで教職員向けの平和教育の指導者として活動している。
平和の礎で、沖縄戦の犠牲者の遺骨収集が現在も続いていることなどを学生から説明されたムガベさんは、「集団自決」(強制集団死)に言及し「ルワンダでも政府に抵抗し逃げようとした人々が、政府によって集団自殺に追い込まれた」と共通点を挙げた。「ルワンダでは広島、長崎の原爆については学校で学ぶが、沖縄戦を知る人はほとんどいない。残酷で、もっと知られるべき戦争だ」とも語った。
ムガベさんは23日午後1時半から、那覇市の琉球新報ホールで「ぼくが、ルワンダの大虐殺を語り続ける意味」と題して講演する。 (岩切美穂)