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日本国籍回復を申請 比残留2世、アカヒジさん


日本国籍回復を申請 比残留2世、アカヒジさん 福岡空港で関係者に出迎えられ、笑顔を見せる日系2世アカヒジ・サムエルさん=2023年12月
この記事を書いた人 Avatar photo 共同通信社

 【マニラ共同】太平洋戦争中にフィリピンで沖縄県出身とされる父を反日ゲリラに殺された日系2世アカヒジ・サムエルさん(81)が、日本国籍回復を目指して那覇家裁沖縄支部に就籍許可を申し立て、8日受理された。千原歌穂子弁護士が同日明らかにした。アカヒジさんは昨年12月に同県の親族に会うため訪日を果たしていた。アカヒジさんは取材に「父が日本人だから私も日本人」と話し「重要な申し立てだ」と訴えた。

 戦後78年を経て沖縄で親族らと対面したことを振り返り「ついに出会えた。心地よく幸せに感じた。本当に優しく、キスしてくれた人もいた」と感謝。親族の一部とはフィリピンに戻った今もメッセージをやりとりしており、国籍が回復できれば「日本に住むことができる」とも語った。

 支援団体代表が昨年、沖縄県で記者会見してアカヒジさんの親族捜しへの協力を求めたところ、関係者から連絡があった。千原弁護士によると申立書にはこうした経緯も記載。アカヒジさんの父とみられる写真が親族らの調査で見つかったことも立証に活用した。

 アカヒジさんは父系の血統主義を採用する当時の法律により日本国籍が付与されるはずだが、証拠書類が失われ、フィリピン政府は昨年12月に無国籍と確認。父は漁業者として1920年ごろフィリピンに移り住み、現地女性と結婚していた。