不戦 世代超え誓う 慰霊の日・沖縄全戦没者追悼式 戦後71年、苦悩今も


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
世代を超えて恒久平和を誓い、焼香する参列者ら=23日、沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園(諸見里真利撮影)

 戦後71年を迎えた慰霊の日の23日、沖縄戦で最後の激戦地となった沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園で、「沖縄全戦没者追悼式」(県、県議会主催)が開催され、犠牲となった20万人余のみ霊を慰め、世界の恒久平和を誓った。各地の慰霊塔でも慰霊祭が開かれ、県内は鎮魂と祈りに包まれた。

 集団的自衛権の行使を認める安保関連法が施行され、初めての慰霊の日。不戦を誓ってきた日本の姿が大きく変わりつつある一方で、県内では広大な米軍基地が集中し、基地関連の事件・事故が繰り返される。平和祈念公園や各地で開催された慰霊祭の参加者や遺族からは「二度と戦争をする国にしないでほしい」「もう沖縄を犠牲にしないで」などと平和を求める声が上がった。

 追悼式の「平和宣言」で翁長雄志知事は、米軍属による女性暴行殺人事件に言及し「県民は大きな衝撃を受け、不安と強い憤りを感じている」と県民の思いを代弁した。その上で「日米地位協定の抜本的な見直しと、海兵隊の削減を含む米軍基地の整理縮小など、過重な基地負担の軽減を直ちに実行するよう強く求める」と日米両政府に要求した。

 県議会の喜納昌春議長も「戦後の立法院時代を含め、県議会での県民の尊厳・人権問題に関する米軍基地関係の意見書・決議は511件になる」と述べ、米軍基地があるが故に事件・事故の犠牲になってきた沖縄の現状を訴えた。各地の慰霊祭でも「我慢の限界を超えている」など、事件に対する強い憤りが表された。

 追悼式には約4700人(主催者発表)が参列した。安倍晋三首相、大島理森衆院議長、山崎正昭参院議長、岸田文雄外相、中谷元・防衛相ら関係閣僚、ケネディ駐日米大使らが参列した。正午の時報に合わせて、参列者が1分間の黙とうをささげた。

 安倍首相は「戦後70年以上を経た今も、沖縄が大きな基地の負担を背負っている事実を重く受け止め、今後とも基地負担の軽減に取り組む」と述べた。

 平和の礎には本年度、新たに84人が刻銘され、刻銘者は24万1414人になった。強い日差しが照り付ける中、高齢となった遺族らは、平和の礎を訪れ、戦没者に水や食べ物を供えていた。

英文へ→Okinawa Memorial Day Ceremony attendees vow peace and object to Okinawa made scapegoat