若い世代、不戦誓う ずゐせんの塔 継承へ初メッセージ


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ずゐせんの塔慰霊祭で平和へのメッセージを読み上げる久場雄斗さん(中央)=23日、糸満市米須

 【糸満】慰霊の日の23日、旧県立首里高等女学校(首里高女)の生徒らの名前を刻んだ「ずゐせんの塔」の慰霊祭が糸満市米須であり、今回初めて中学生が「平和へのメッセージ」を読み上げた。沖縄戦で家族11人のうち7人を失った祖父の思いを受け継ぎ、久場雄斗さん(首里中3年)は「もう二度と、この地で起きた悲惨な戦争を繰り返すことがないよう考えていきたい」と誓った。

 首里高女の生徒たちは沖縄戦で野戦病院壕に看護要員として配属されるなどし、多くの犠牲者を出した。

 雄斗さんの祖父里重さん(80)は同校の生徒だった姉を含め、家族7人を亡くした。いつ、どこで死んだのか詳細が分からず、全員の命日を6月23日としているという。

 幼稚園の頃から毎年慰霊祭に参加しているが、最初は意味がよく分かっていなかったという雄斗さん。祖父母らの体験を聞くうちに「戦争がいかに恐ろしいかを考えるようになった」とメッセージで触れ、「これからの時代、僕たち若い世代が皆さんから聞いた話や学んだことを後世に語り継ぐ」と決意を込めた。

 式典の後「もう戦争を起こしたくない、平和が続けばいいという気持ちでメッセージを読んだ。これからは若い世代が積極的にこのような行事に参加していけたらいいと思う」と話した。

 叔母も含めると、家族8人を戦争で亡くしたという祖父の里重さんは「毎年慰霊祭に連れてくるうちに、自分なりに感じることがあったのだと思う。これからは孫たちが考えてくれるようになればと思う」と話し、体験の継承に期待した。

 首里高女と旧県立女子工芸学校の卒業生らでつくる瑞泉同窓会の新元貞子会長は、中学生のメッセージを取り入れたことについて「平和な世の中が続くように、未来を築く若い人たちに戦争というものを感じてもらい、これから先、自分たちが(平和への取り組みを)やっていくという意識を持ってもらういい機会にしたい」と意義を語った。

英文へ→Young generation make a promise for no-war at Zuisen monument