鹿児島県を拠点とする自然と文化を守る奄美会議(大津幸夫会長)が、8月中旬にも特定外来生物の県外持ち出しを規制する条例制定を求める陳情書を鹿児島県議会(池畑憲一議長)に提出することが分かった。沖縄県が今年3月、那覇空港第2滑走路建設のための埋め立て石材を採取している奄美大島の採石場周辺を調査した際、6地点全てで特定外来生物のハイイロゴケグモが見つかったため。奄美大島の石材や土砂は米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古新基地建設の埋め立て工事にも使用されるとみられており、9月の鹿児島県議会で採択されれば新基地建設工事の進捗(しんちょく)に影響しそうだ。
陳情書は、昨年11月に県が制定した県内に持ち込まれる土砂や石材に付着した特定外来生物の移入を規制する土砂条例について触れ、鹿児島県は搬出する側として「特定外来生物の移出を禁止する鹿児島県条例」の制定の必要性を訴える見通し。また、奄美大島からの土砂搬出を直ちに中止するよう訴える。
同会議の大津会長は「土砂や石材を搬入・搬出する両県で厳重にやれば、最悪の事態を回避できる」と指摘。さらに、現行の土砂条例については「法的拘束力がなく不十分」であるため、より実効性のあるものへと改定すべきとの見解を示した。
沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは条例案について、県外から1700万立方メートルの土砂搬入が見込まれる辺野古新基地建設工事にも応用できると指摘。「土砂条例だけでは県外での管理体制などが把握できないため双方で監視することは非常に効率的だ」と述べた。