「亡き友が支えてくれた」 元ひめゆり学徒・本村さん自分史を発刊


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元ひめゆり学徒で、このほど自分史を発刊した本村つるさん

 元ひめゆり学徒で、沖縄県女師・一高女ひめゆり平和祈念財団前理事長の本村つるさん(91)がこのほど、自分史「ひめゆりにささえられて」を発刊した。生い立ちから女学校時代や戦争体験、教員生活、ひめゆり平和祈念資料館開館までの歩みをまとめた一冊。同資料館の館長も務めた本村さん。開館に向けてはひめゆり同窓会の先輩や、元教師らの尽力があったとした上で「私が資料館の仕事を続けることができたのは、(戦争で)亡くなったお友達が支えてくれたおかげだと思う」と自分史に込めた思いを語った。

 本村さんは県立第一高等女学校卒業後、沖縄師範学校女子部に進学した。1945年3月末、卒業式直前に南風原村(現南風原町)にあった陸軍病院に動員された。病院壕に配属された同じ学徒の安否を確認する役割を担った。戦況悪化に伴い、陸軍病院から南部に逃げる道のり、学友の死、捕虜になるまでの戦争体験を記した。

 「上級生は下級生の世話を見るように言われていたが、負傷した下級生を(戦場に)残してきた。忘れることはできない」と苦しい胸の内を語る。

戦争体験やひめゆり平和祈念資料館開館までの歩みをつづった本村つるさんの自分史「ひめゆりにささえられて」

 後半は、教員時代や夫の故國男さんとの結婚生活をつづった。同資料館建設に向けては、展示内容を考え、資料収集を担う「資料委員会」の委員長を務めた。悲惨な戦争体験を後世に伝えようと、資料館開館へ情熱を傾けた様子も描かれている。最終章は詩11編を収録した。

 自分史はフォレストから300部発刊した。「お世話になった方々に対するお礼の気持ちも込めた」と本村さん。ジュンク堂那覇店やリウボウブックセンターリブロ、宮脇書店などで販売している。定価は1800円(税別)。
(高江洲洋子)