甲子園出場を争う2校が決まった。第106回全国高校野球選手権沖縄大会の第10日は20日、沖縄セルラースタジアム那覇で準決勝2試合を行った。エナジックはウェルネス沖縄を9―0の七回コールド勝ちで破り、初の決勝進出を果たした。興南はKBCを6―2で下し、2年ぶり23度目の決勝進出となった。決勝は21日午後1時から同球場で、エナジック―興南のカードで行われる。
3年生左腕・田崎颯士(りゅうと)が猛暑の中、KBC打線を8回10奪三振の2失点に抑えて決勝進出の立役者となった。
三回に先制を許し、2失点。「味方の失策もあったが、2点目は直球を狙われた。ど真ん中に投げてしまった」と反省も。しかし、直後は自らの懐の転がり込んだゴロを併殺へつなげ、抜け目はなかった。以降も140キロ台の直球、内側低めへの切れ味鋭いスライダーを駆使し、三振と凡打の山を築いた。
昨年の準決勝はウェルネスに0―1で惜敗。決勝弾を浴び、マウンドで経験した悔しい思いを糧に1年間研さんを積み「球速が7キロアップした」。昨年12月から春先まで左肩の関節周辺が痛む「野球肩」に苦しんだが5月末に復活。けがの期間は「瞬発系の練習に取り組み、下半身を鍛えてきた」とエースとしての自負が地道な努力を支えた。
2回戦の中部商戦、3回戦の普天間戦を一人で投げ抜き、準々決勝の知念戦は3番手2回3分の2を投げ、締めの役割を担った。
うるま市出身で伊波小、伊波中から興南へ進んだ。甲子園まであと1勝。エナジック戦に向け、「バントが多いチーム。動かされると思うが、焦らず冷静に対処したい」と気張らずに挑む。
(大城三太)
四回田澤、逆転タイムリー
三回に2点リードを許した興南だったが、直後の四回にすぐさま3点を奪取し、逆転に成功した。
追い風となる逆転打を放ったのは、田澤快武(かん)。チームが1点を奪った後、イレギュラーバウンドでの出塁や死球で訪れた二死満塁の好機に初球を捉え、中前への2点タイムリー。「高めの真っすぐだった。練習の成果を出せた」とエース・田崎颯士を援護する1発だった。
この回は1年生コンビも存在感を発揮した。先頭打者で出塁した山川宗紘(むねひろ)、2死三塁から左中への適時打で丹羽蓮太が1点目を返し、打線に火を付けた。4打数3安打1打点の山川は「先輩たちがうまく乗せてくれた」と応援を力にして期待に応えた。
全員安打も達成し、打撃の強みを印象づけた。七回にランニング本塁打を放った石川駿介主将は「次も勝って甲子園に行く」と力強かった。
(大城三太)
しっかりした守備で
興南の我喜屋優監督 細かく足を使う相手に、しっかりした守備で対応したい。まずは相手に点数をあげないことが大事
守備の連係必要
興南の石川駿介主将 足を絡めた攻撃や長打を打つ選手もいる。一人一人に対して対応が違ってくるので守備の連係が必要
▽準決勝
興南
000301110|6
002000000|2
KBC
(興)田崎、金城―丹羽、仲本
(K)崎濱、浜元、譜久山―花城、砂川
▽本塁打 石川(興)
▽二塁打 島田(興)
【評】KBCは三回に2点先制するも、四回に満塁とされ、逆転を許した。五回の満塁は無失点でしのいだが、興南は六回以降に投手を攻略し、着実に加点した。守備では、八回まで投げた田崎颯士に安定感があり、四回以降はKBC打線を沈黙させた。