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ジャングリアと「共生」の道探る村 渋滞、雇用…渦巻く期待と不安 今帰仁村長選11日投開票 沖縄


ジャングリアと「共生」の道探る村 渋滞、雇用…渦巻く期待と不安 今帰仁村長選11日投開票 沖縄 ジャングリアの開園に伴い、呉我山区民から交通渋滞を懸念する声が上がる県道72号と同123号が交わる交差点=2日、今帰仁村呉我山
この記事を書いた人 Avatar photo 金城 大樹

 任期満了に伴う村長選が6日告示、11日投開票される今帰仁村では、来年夏に開業予定の北部テーマパーク「ジャングリア」の工事が進む。村経済の振興や、課題とされる滞在時間の短い「素通り観光」の改善に期待が高まる中、村民からはジャングリア開園後の交通渋滞や雇用に関して不安の声も上がっている。

 今帰仁村商工会の島袋禎好事務局長は、ジャングリアの開園で、人材確保競争の激化を危惧する。同商工会によると、2019年度の同会への創業相談は11件だったが、ジャングリアの運営会社ジャパンエンターテイメントが事業内容を明らかにした23年度の相談件数は57件と2倍以上に増えた。県外からの問い合わせもあるという。島袋事務局長は「相談件数が増えるのはいいことだが、大きな環境変化が賃金格差や人手不足につながらないかとの危惧はある。村民生活とのバランスも取っていかないといけない」と話す。

ジャングリア完成予想図(画像提供:ジャパンエンターテイメント)

 ジャングリアの開業で、観光客数の増加も見込める一方、同村観光協会の横澤一美事務局長は、素通り観光の解消には「村内の業者が連携して、もっと今帰仁に呼び込める仕組みが必要だ」と語る。同協会が2019年に村に訪れた観光客8007人の動向をアプリGPSデータなどから分析したところ、7965人(99.5%)の観光客が日帰り客で、約7割が0~30分の滞在時間だったという。

 横澤事務局長は、古宇利島や今帰仁城跡などの人気観光地が村内の東西に分かれ、村中心部で観光客が滞在するような施設が少ないと指摘し「今帰仁は歴史、文化など材料はたくさんある。官民連携して魅力を高める必要がある」と話す。

北部で計画されるテーマパーク「ジャングリア」の体験イメージ(ジャパンエンターテイメント提供)

 ジャングリアができる呉我山区では交通渋滞が懸念されている。同区に住む70代の女性は「道もそんなに大きくない。渋滞になると困る」と不安げだ。同区に通る県道72号と同123号は、区民の生活道路として重宝されるが、ジャングリアへのアクセスルートの一部にもなっている。女性は「住民の事情も理解してほしい」と対策を求める。

 県内外で注目を集めるジャングリア。来年夏の開園を前に住民の期待と不安が入り交じる中、出馬を表明している現職の久田浩也氏(57)と、新人で前今帰仁村議の座間味邦昭氏(51)のジャングリアと村民生活の共生を目指す取り組みが求められる。 

(金城大樹)