名護市辺野古の新基地建設計画を巡り、翁長雄志知事は19日までに、今後工事に影響を与え得る県の権限を洗い出し、影響の度合いに応じて3分類した。土木建築部、農林水産部、環境部、教育庁から計13の権限が上がった。そのうち「影響が大きい」権限に分析した「A」分類に岩礁破砕許可、サンゴ採捕の特別許可、設計変更審査の三つを挙げた。県は辺野古埋め立て承認取り消しを巡り、国が県を訴えた不作為の違法確認訴訟に臨んでいるが、確定判決で仮に国が勝訴した場合も新基地建設阻止の姿勢は変えないと表明している。これらの権限について、工事を進めようとする国の申請に対して法にのっとり厳格に審査する方針だ。
翁長知事はまた、今回洗い出しをした「現段階で有している権限」のほかにも、2013年12月の埋め立て承認後に発生した公益違反の事由に基づく「撤回」に踏み切る可能性を示唆している。
県が知事権限の3分類を行ったのは、今月3日に承認取り消しを巡る不作為の違法確認訴訟で最高裁への上告受理申出書を提出して以降。最高裁判決に備えつつ、「判決後」の権限行使の可能性を並行して進めている。
県の権限分類はほかに、工事の実施には影響しないが工事期間を延ばす可能性がある「B」が六つ、工事への影響は小さい「C」が四つ。このうち「B」は工事の実施設計に関する事前協議、埋蔵文化財に関する届け出・通知など。「C」は環境影響評価手続きに関する事後評価に基づく環境対策など。
県文化財課の萩尾俊章課長は「埋蔵文化財への権限は(法律上)知事ではなく教育長にある」と説明した上で、対応を「他部署とは話し合っていない」とした。