泊漁港「消費地市場」へ 県検討 水揚げ、競り機能維持も


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県が消費地市場としての再整備を想定して描いた泊漁港のイメージパース

 泊魚市場(那覇市)の糸満漁港への移転に関連し、県は泊漁港を「消費地市場」として再整備することを検討している。那覇都市圏の中心にある立地を生かし、消費地の水産物流通拠点として活性化する。外国人を含む観光客の訪問が増えていることを踏まえ、商業施設である「泊いゆまち」の拡充に加え、那覇市や漁業者の要望を聞きながら、水揚げや競り機能を残すことも検討し「マグロの街」として振興を図る那覇市の個性を生かしたまちづくりを目指す。

 県は、多くの水産物が水揚げされる「産地市場」となる糸満漁港との役割分担を明確化することで、糸満移転に反対する漁業者らの理解を得たい考えだ。

 事業時期は未定だが、泊漁港は岸壁を耐震改修する計画があり、消費地市場として再整備に着手するのは、早くてもそれが終わった後となる見通しだ。漁業者からは泊と糸満の二つに分かれることへの懸念も強く、役割分担の周知が課題となる。那覇地区漁協の山内得信組合長は「糸満(移転)の話が先行し過ぎている。もっと泊の再整備も含めて議論をすべきだ」と話した。

 産地市場は漁業者が出荷した水産物を卸売りするため、水揚げされた地域に開設される市場を指す。これに対し、消費地市場は主に都市部に置かれ、各産地から送られてきた水産物の卸売りを行うため開設される市場で、東京都中央卸売市場築地市場が代表的だ。(知念征尚)