沖縄戦孤児 身元捜して ガマフヤー DNA鑑定、県議会に要請


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沖縄戦での身元不明者の身元判明事業の要請文を新里米吉県議会議長(左端)に手渡す沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表(右から2人目)ら=9日、県議会議長室

 沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表らが9日、県議会に新里米吉県議会議長を訪ね、DNA鑑定を用いた国による沖縄戦身元不明孤児の身元判明事業の要請文を手渡した。具志堅代表は「身元不明孤児の人に自分自身が誰なのかを知るチャンスを与えてほしい」と語った。

 要請文は、沖縄戦で家族と生き別れた、または失った身元不明孤児の家族捜しのためのDNA鑑定の実施と、DNA鑑定への参加呼び掛けの広報の実施を盛り込んでいる。

 要請には沖縄戦で家族と生き別れた喜屋武幸清さん(78)=那覇市=と金城ハツさん(78)も同行した。現在の豊見城市にあった収容所で妹ミサ子さんと生き別れた上、宜野座村の収容所で祖母ウサさんを亡くした金城さんは「家族で死んだ場所が分かるのは祖母だけなので遺骨収集をしたい。妹が生きていたら絶対に会いたい」と涙ながらに語った。

 弟の幸雄さんと妹の洋子さんと生き別れた喜屋武さんは「(弟や妹は)生きてるか死んでるかも分からない。生きていても自分自身のことをよく分からないと思うのでDNA鑑定は必要だ」と訴えた。

 具志堅さんによると、沖縄戦時の収容所で、自分の名前を言えない身元不明孤児は少なくとも160人いるという。具志堅さんは「国は中国残留孤児にはそれなりの対応をしているので、沖縄の孤児の人で(DNA鑑定を)希望している人に自分自身が誰なのかを知るチャンスを与えてほしい」と要望した。

 要請文を受け取った新里県議会議長は「(DNA鑑定で)希望されている人の家族が分かるかもしれないので、国に要請することは重要だ。3月の文教厚生委員会で協議し、家族の願いがかなうようにしていきたい」と語った。