平和継承 戦跡で誓う 広島経済大生50人 学徒の足跡たどる


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県庁・警察部壕について沖縄戦当時の写真を見せながら説明する柴田一郎さん(左)=21日、那覇市繁多川

 「沖縄で学んだ戦争を今後も広島で伝えていきたい」。沖縄戦当時の状況を追体験し、戦争体験者などの証言を聞く「オキナワを歩く」活動を毎年続けている広島経済大学の岡本貞雄教授のゼミ学生ら約50人が21日、南風原町新川のナゲーラ壕や、那覇市繁多川の県庁・警察部壕などを訪れた。汗ばむ天気の中現場を歩いた学生らは「普通の人たちの命が奪われるのが戦争だと分かった」と話し、思い思いに平和の大切さをかみしめていた様子だった。

 11回目の開催で、今年は20日に始まった。今年は初めて、県立一中の男子学徒がたどった那覇市首里から糸満市までを歩いた。水や乾パンで過ごしていた当時の人々の状況を想像するため、学生らは栄養補助食品と飲み物だけで過ごした。追体験は23日まで。

 県庁・警察部壕を案内したのは、繁多川公民館の南信乃介館長と、体験者からの聞き取り調査などをしてきた柴田一郎さん(73)。柴田さんは、警察官が2段ベッドにぎゅうぎゅうに寝泊まりしていた当時の様子を説明。「戦時行政に一番関わったのは警察だ。戦争の悲惨さの反面教師としてほしい」と語った。

 「沖縄戦については本やネットで調べられるが、当時の人がどんな気持ちでいたのか実際に知りたい」。3年連続で参加し続けている渡辺優気さん(21)は真剣な表情を浮かべる。渡辺さんは「1年目は聞くだけで精いっぱいだったが、2年目からは学んだ内容を地元の中学生に伝える活動を始めた。今後も学んだことを広島で伝えていきたい」と語った。

 初めて沖縄を訪れた湊春風(みなとはるか)さん(19)は、20日に聞いた戦争体験者の証言にふれ「体験者の証言を聞くことで、当時何が起きたのか細かい部分まで知ることができた。体験者の『日本はあそこまで戦争を長引かせるべきではなかった』という言葉が印象的だった」と話した。(半嶺わかな)