辺野古の汚濁防止膜設置へ 4月までに4カ所、工事新段階に


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汚濁防止膜を引っ張るえい航船(左)=9日午後、沖縄県名護市辺野古

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古移設に伴う新基地建設計画で、沖縄防衛局は10日にも護岸工事を前にした汚濁防止膜の設置を開始する。本体工事に向けた工事は新たな段階に入った。

 防衛局は9日、大型クレーン船と小型の作業船を使い、膜を台船から海面へ引き出す作業を実施するなど、本体工事に向けた作業を加速させている。汚濁防止膜を海底で固定するアンカーに使う大型コンクリートブロックは投下予定の228個のうち少なくとも6割以上は投下されたとみられる。4月末をめどに計4カ所で汚濁防止膜を設置し、5月にもしゅんせつ工事に先立つ護岸工事に入る計画だ。

 一方、辺野古新基地建設に反対し、土木技術に詳しい市民は防衛局が設置した汚濁防止膜について(1)膜の縦の長さが約7メートルなのに対し、水深約40メートル前後の場所が多い(2)4カ所設置する膜の間が離れている-などと指摘。「汚濁が水深の深い位置や膜と膜の間から流出する恐れがある」と効果を疑問視している。

 基地建設関連の各資料を分析する沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんは、工事用の船が入るための開口部を確保していることを指摘し「資材搬入のための航行を優先している。全てが囲われていないのであれば汚濁を防止できないのは当たり前だ」と批判した。

 土木技術者の男性は「通常は海底まで膜を張るのが当然だ。防衛局の計画だと下から確実に汚濁が出るのは誰でも分かる」と指摘。「もし海底40メートルまで膜を張ると、波の力が強くて抑え切れない。完全に閉め切ると、サンゴが汚濁で死ぬ。そもそも大浦湾は埋め立て工事に適していない」と工事中止を訴えた。

 9日は、少なくともブロック2個が投下された。新基地建設に反対する市民らは抗議船3隻とカヌー11艇で抗議した。