記憶継承へ工夫必要 海外視察を報告 ひめゆり学芸員


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ひめゆり平和祈念資料館の島袋淑子館長らにヨーロッパや韓国で学んだことを報告する学芸員ら=15日、糸満市伊原

 【糸満】ひめゆり平和祈念資料館の学芸員による「ひめゆり・ヨーロッパ平和交流の旅2」の報告会が15日、糸満市のひめゆり平和祈念資料館で開かれた。学芸員らは4月7~16の10日間、欧州や韓国の博物館を視察した。国際平和博物館会議にも参加し、ポスターセッションなどを通じて、関係者らと交流した。沖縄戦体験の次世代への継承に向けて、今回の視察を今後の展示リニューアルに向けて参考にしたい考えだ。

 報告会には島袋淑子館長ら関係者が出席した。島袋館長らは、学芸員による報告に耳を傾けていた。

 学芸員はアンネ・フランク・ハウス(オランダ)やザ・ピース・ミュージアム(イギリス)、戦争と女性の人権博物館(韓国)などの平和博物館を視察した。

 アンネ・フランク・ハウスではヤン・エリック・ダブルマン教育プロジェクト部長と対談。両館ともに第2次世界大戦を体験していない若い世代にどのように伝えるかなどが課題になっていると紹介した。

 仲田晃子学芸課係長は「これまでと同じ説明では伝わらない。展示は相手あってのもので、相手のことをもっと考えて、表現しなければならない」と刺激を受けた様子だった。

 報告会後、島袋館長は「戦争の恐ろしさ、命の尊さを世界中の人たちが伝えようとしている。力強く感じた」と述べ、「戦争を体験していない若い学芸員が私たちとは違う考え方で、真剣に継承しようとしている」とこれからの継承活動に期待した。