護岸着工1ヵ月 翻弄され続ける住民 名護・東海岸「人も地域も疲弊」


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 【辺野古問題取材班】沖縄防衛局が名護市辺野古の新基地建設に伴う護岸工事に着手してから25日で1カ月が経過した。砕石が投下され続ける大浦湾がある名護市の東海岸に住む住民から「沖縄にだけ負担を押しつけている」「賛成か反対の単純な話しではない」などの声が上がり、複雑な心境が浮かび上がった。

 「昔は保守的な考え方をしていたが、政府のやり方にこれ以上、我慢できない」。名護市底仁屋で農業を営む仲本ヒミさん(74)は政府の姿勢に強い不信感を感じている。「県民が反対しているにもかかわらず沖縄にだけ負担を押しつける。人間扱いされている気がしない」と強調。娘の奈々子さん(40)は沖縄の人が見せ物にされた「内国勧業博覧会」の「人類館」に触れ「沖縄は今でも日本人として扱われていない。いまだに日本から見られているように感じる」と国民全体に沖縄の基地負担が理解されていない現状を指摘した。

 二見区の60代男性は「喜んで基地を受け入れる人なんて誰もいない。でも基地ができてしまってからでは私たちの生活なんて誰も見向きもしない。補償もなく危険だけが残されてしまってはいけない。だから条件付き容認だ」と話す。「20年近く、国政と県政に翻弄(ほんろう)され続けている。何かある度に賛成か反対かと問われるが単純に言い切れない。具体的に工事を止める策も見えない。生活もある。人も地域も疲弊していく一方だ」と心情を吐露した。

 一方、三原区の新崎秀子さん(77)は「絶対に(新基地を)造らせてはいけない」と言い切る。「お金はあの世に持っていけない。自然を残さないと、壊れたら取り戻せない。思想信条は関係ない。なんでこんな当たり前のことが分からないのか不思議でならない」と強調した。