【キラリ大地で】アメリカ 琉球舞踊師範の恩納桃枝さん


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伝統文化の魅力発信

米ワシントンで琉舞の魅力を伝える琉球舞踊玉城流翔節美智子乃会の師範で那覇市出身の恩納桃枝さん

 世界各地から150万人が訪れるといわれるワシントンDC恒例の全米桜祭り。祭りの一環で行われる「ストリートフェスティバル」では、日本文化オンパレードのステージが毎年、展開されている。今年も琉球舞踊玉城流翔節美智子乃会の師範で那覇市出身の恩納桃枝さん(38)が米国で沖縄の伝統文化をアピールしようと、琉球芸能を披露した。舞台の演出のほか、自らもあでやかな紅型衣装で登場し、「かじゃでぃ風」を舞った。

 イベントではそのほか子どもたちによる「花のカジマヤー」も披露され、舞台いっぱいに踊る子どもたちのかわいい姿に観客らは魅了されていた。「花のカジマヤー」を披露したのは子どもたちの踊りグループ「ワラビンチャー」。恩納さんは8年前に同グループを立ち上げ、踊りの指導をしている。そして舞台の最後を締めくくったのはワシントンDC沖縄会会員によるエイサー。恩納さんはその振り付けや踊りの指導も手伝っている。

 恩納さんは2004年、玉城流翔節会美智子乃会の一員として初めて訪米した。ワシントンのケネディセンターで「尚円―金丸」の舞台に出演し、その打ち上げパーティーで夫のトムさん(46)と出会った。「その時運命を感じた」とほほ笑む恩納さん。メールのやりとりや沖縄と米国を行き来し、愛を深めた。10年に結婚。一人娘ソフィーちゃんは2歳になる。今年、ソフィーちゃんもワラビンチャーの一員として初めて舞台に立った。

 恩納さんが琉球舞踊を習い始めたのは4歳の時。前川美智子会主の下で、長年にわたって芸を磨いてきた。「高校生の時、踊り手によって表現が違う古典舞踊の奥深さを知り面白くなってきた。古典は表情を出さずに所作一つで表現して気持ちを伝えるので、ごまかしが利かない。そこに古典舞踊の魅力がある」と語る。

 師範である恩納さんのワシントンでの活躍の場は多い。知事との懇親会や駐米日本大使や政府の要人が集まるウィラードホテルでのイベントのほか、沖縄会や各県人会の催しでも琉球舞踊を披露している。16年に実施された「世界のウチナーンチュ大会」の際は、国立劇場おきなわで「花風」を踊った。

 着付けが好きな恩納さんは日本人学校卒業式での和装や13歳祝いの琉装の着付けを頼まれることも多い。「着付けを教えたり、踊りの公演やワークショップを開いたり、琉球舞踊、沖縄伝統文化の素晴らしさを伝えていきたい」と抱負を語る。さらに「夫の協力のおかげで好きな踊りを続けられる。惜しみなくサポートしてくれる優しい夫、師匠、そして両親にいつも感謝している」と感謝の気持ちを表すことも忘れなかった。
(鈴木多美子通信員)