米軍基地で決定権侵害 国内少数派、被差別報告 反差別シンポ


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沖縄やアイヌなどの状況を報告し、参加者と意見を交わす登壇者=30日、札幌市の札幌エルプラザ

 【札幌市で宮城隆尋】東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会は30日、シンポジウム「反差別・反ヘイト―自己決定権を問う」を札幌市の札幌エルプラザで開いた。琉球大学の島袋純教授が、米軍基地問題を巡って沖縄の人々の自己決定権が侵害されている現状を報告した。登壇者は沖縄の人々やアイヌ民族、在日コリアンなど、国内のマイノリティー(少数派)が被差別的な立場に置かれている事例を報告し、参加者と意見を交わした。

 島袋教授は、米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯建設に反対する市民に対し「土人」と機動隊が発言したことに関して、政府が容認する閣議決定をしたことを挙げて「明らかに国際条約とヘイト規制法に違反する対処の仕方だ」と指摘。基地の過重負担に反対する民意が無視されている点と併せて「明らかに差別だ」と批判した。

 ジャーナリストの安田浩一さんは、在日コリアンへのヘイトスピーチに関連し「日本で優越的な権利を持つ外国人は在日米軍だけだが、そこには批判の矛先が向かない」と語った。「沖縄ヘイト」について「沖縄の(民意に対し)『わがままだ』と主張する人々に歩調を合わせるようなメディアが、これを誇張している」と批判した。

 ほかにアイヌアートプロジェクトの結城幸司代表、木村朗鹿児島大学教授、琉球新報の宮城隆尋編集委員も登壇した。