普天間飛行場の返還条件として米軍が緊急時の民間空港の使用を求めている問題で、沖縄県の謝花喜一郎知事公室長は5日の県議会一般質問で使用が想定される民間空港として「那覇空港ではないかと推測している」と述べ、その上で「那覇空港の(米軍による)使用は絶対に認められない」と明言した。県が民間空港の具体名に言及するのは初めて。
普天間飛行場の返還に関しては6月15日の参院外交防衛委員会で稲田朋美防衛相が「普天間返還の前提条件が整わなければ、返還とはならない」と防衛相として初めて明言し、新基地が建設されても普天間飛行場が返還されない可能性を明らかにした。
4月には米政府監査院(GAO)が、辺野古新基地の滑走路は任務遂行のための必要な長さを満たしていないとし、別の滑走路の使用を検討するとし、12カ所の候補地のうち1カ所が県内だとする報告書を出している。
5日の県議会で、県内の1カ所の民間空港について問われた謝花公室長は、日米両政府は特定の空港を明示していないとした上で「普天間飛行場の滑走路が約2800メートルなので、2700メートルある那覇空港を指しているのではないかと推察している」と述べ、「那覇空港は過密。自衛隊も使用している。観光への悪影響もある。決して認められない」と使用に反対する姿勢を示した。平良昭一氏(おきなわ)の質問に答えた。
翁長雄志知事も5日の県議会で「防衛相の答弁は参院外交防衛委員会で3回も4回も確認されている」と正式答弁であることを強調し「(防衛相の発言を)大きな衝撃をもって受け止めている」と述べた。さらに「このようなこと(返還条件)が(前知事の)埋め立て承認時に全く話が出ない中で、5年以内の運用停止なども含めて一体全体どういうことなのかと思う」と述べ、これまで返還条件に言及してこなかった政府への不信感をあらわにした。
普天間飛行場の返還条件は2013年4月、日米両政府が合意した嘉手納基地より南の米軍基地の返還・統合計画で決定している。