ハワイ戦没者の遺骨収集を  慰霊祭実行委が沖縄県に協力要請


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
沖縄県の金城弘昌子ども生活福祉部長(右)に要請書を手渡す高山朝光さん(左)と渡口彦信さん=14日、県庁

 ハワイ捕虜沖縄出身戦没者慰霊祭実行委員会の渡口彦信、高山朝光共同代表らは14日、沖縄戦で米軍の捕虜となり、移送先のハワイで死去したまま遺骨の行方が分かっていない県人12人の遺骨を国やハワイ政府と連携し、早期に収集・返還するよう協力を求める要請書を、翁長雄志知事宛てに提出した。

 要請書を受け取った県子ども生活福祉部の金城弘昌部長は「戦後処理の一環として、実相解明に向けしっかりと取り組みたい」と明言した。県は国へ求める調査内容などを精査し、8月15日以降に厚生労働省に要請書を提出する。

 実行委は遺骨収集と併せ、ハワイへ移送された3000人余の県出身者の名簿の収集と開示も要請した。

 自らも元捕虜で戦後、私費を投じて個人で遺骨の行方を追ってきた渡口さんは民間調査の限界に触れ、「戦没者遺骨収集推進法の集中期間である今こそ、国の責務として取り組んでいただきたい。一日も早く、遺骨が遺族の元へ返ることを願っている」と訴えた。

 大田県政時の知事公室長を歴任するなど平和行政に携わった経験を持つ高山さんは、自身の経験から米公文書館に捕虜の名簿が保管されている可能性を指摘。県や国の職員を派遣し、調査することを提案した。

 「遺骨は日本と琉球に返した」とする米軍側の主張に十分な根拠がないとして、現地の日系人などで構成するハワイ沖縄連合会(ヴィンス渡部会長)が追跡調査を実施することも明らかにした。【琉球新報電子版】