厚生労働省は県内10地域で見つかった沖縄戦戦没者の遺骨84体について、民間人犠牲者の遺族にもDNA鑑定の対象を広げ28日、募集を開始した。民間人遺族が鑑定対象となるのは初めて。また、厚労省は今月12日に沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」や遺族が鑑定を要望した135人について、全員を対象に鑑定を行う方向で手続きを進めている。
遺骨のDNA鑑定ついては、これまで厚労省から部隊記録などを基に協力を呼び掛け、対象は事実上、軍人・軍属の遺族に限られてきた。だがこれまで身元特定に至ったケースが少なく、遺族の高齢化なども踏まえ、民間人犠牲者の遺族からも鑑定の申請を募ることを決めた。
10地域は真嘉比(那覇市)、幸地(西原町)、大里字高平(南城市)、経塚、前田(いずれも浦添市)、伊原、米須、喜屋武、真壁(いずれも糸満市)、旧具志頭須武座原(現八重瀬町)。
鑑定希望者の申請には氏名や住所、戦没者の死亡場所などの情報が必要となる。費用は全額国庫で負担される。今月12日に「ガマフヤー」が要望した135人については、厚労省が全員分を受け付け、申請書を送付している。10地域と死亡場所との関連は「柔軟に対応したい」(担当者)としており、明らかに異なる場合を除き鑑定を認める方針。
申請は郵送のほかメールやFAXでも受け付ける。県内在住者の窓口となる県子ども生活福祉部平和援護・男女参画課は「どこで亡くなったか分からない場合でも、10地域に関わる可能性がある場合は聞き取りをし申請を受け付ける」としている。問い合わせは県平和援護・男女参画課(電話)098(866)2500。