「椎の川」うちなーぐちで上演 演劇集団「創造」 24日うるま、30日浦添で


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「椎の川」の稽古をする花城清長(左端)、当銘由亮(左から3人目)、座喜味米子(中央)ら=うるま市の稽古場

 演劇集団「創造」は24日にうるま市民芸術劇場で、30日に浦添市てだこホールで沖縄芝居「椎の川」(大城貞俊原作、知念正真脚本、幸喜良秀演出)を上演する。ハンセン病や沖縄戦に苦しみながらも支え合って生きる家族の愛を描く。今回で3度目の上演になるが、初めて全編うちなーぐちで上演する。

 原作の「椎の川」は具志川市文学賞を受賞した。今回の公演は小説の発刊25年目を記念している。

 やんばるの山村で暮らす主人公の松堂静江(小嶺和佳子)はハンセン病になってしまう。村人は静江と松堂家に冷たく接するが、夫の源太(当銘由亮)、義父の源助(花城清長)、義母のタエ(座喜味米子)らは静江をかばって生きていく。静江は身ごもっていた娘幸子を出産し、松堂家はひとときの歓喜に包まれるが、源太に召集令状が届く。ほかの出演は天願雄一、山城亜矢乃ら。

 脚本は創造のプロデューサー又吉英仁がうちなーぐちに訳した。演出の幸喜は「時代劇の言葉ではなく現代のうちなーんちゅが使ううちなーぐちで演じる。私たちの芝居口調(くーちょー)(芝居言葉)をつくり出す。うちなーぐちでも現代のドラマを演じられることを実証したい」と意気込む。

 初演の脚本を直し、家族の喜怒哀楽や葛藤を「沖縄芝居らしく分かりやすく」描く。幸喜は「人間のかなさ(愛)し合う姿を重要視してつくっている。現代は肉親を殺す事件も起こり、家族が崩壊しているのではないか。相手を大事にしようと訴える芝居が今の時代にこそ必要だ」と強調する。静江役の小嶺は「偏見や差別の歴史が風化しないよう芝居を通して語っていきたい」と話している。

 うるま市公演(創造、うるま市教育委員会主催)は午後2時と午後6時半の2回公演。問い合わせは創造(又吉)(電話)090(2392)0804、うるま市教委文化課(電話)098(923)7182。

 浦添市公演(創造主催)は午後1時開演。問い合わせは創造(又吉)(電話)090(2392)0804。入場料は両公演ともに一般2500円(当日500円増し)、高校生以下無料(要電話予約)。