【東京】NHKが10日に放送した番組「NHKスペシャル 沖縄と核」のディレクター2人は18日までに、琉球新報のインタビューに応じた。「米軍基地が沖縄に集中した要因の一つに核武装があることが分かった」「核の存在のために標的になる危険を米軍も認めていた」などと指摘。沖縄を巡る当時の構造は今の構造と「重なる」と強調した。番組は1959年に米軍那覇飛行場で核弾頭を搭載したミサイルが誤射された事実や、沖縄の基地は核戦争戦略の最前線だったことなどを詳細に明らかにした。
北朝鮮が核ミサイル実験を繰り返す中、番組は大きな反響を呼んでいる。取材は昨年8月から、ディレクター2人と米国の調査員2人の計4人で行われた。ディレクターは2013年から今夏まで沖縄放送局勤務の今理織(こんみちおり)さん(41)=NHK放送センター勤務=と、15年から沖縄放送局勤務の松岡哲平さん(36)。
今さんは、米国の核戦略が沖縄への基地集中とどう関わったかについて探っていた。松岡さんは62年のキューバ危機時の核を巡る沖縄の状況に関心を抱いていた。
2人が番組を構想したのは、15年に米国防総省が復帰前の沖縄への核配備を公式に認めたことがきっかけだった。
米軍は当初、本土にも核を置きたかったが反対運動が強く、日本政府が拒否したため米施政権下の沖縄に核が集中していった。
今さんは「米国の核の傘下にある日本は『核は必要だが置くのは嫌』だった。『米軍基地は必要だが、身近にあるのは嫌だ』という今の発想と重なる」と話す。
松岡さんは、沖縄の核の問題を総合的に描くことで「点と点を線にできた。核を通して、沖縄にどのような負担をかけてきたかを描けた」と語る。米軍北部訓練場でのヘリ訓練は当初、核兵器使用を想定した訓練だったことも判明したという。
番組に盛り込めなかった内容を、NHK沖縄放送局のニュース「おきなわHOT eye」内で、19~22日まで連日放送予定。「NHKスペシャル 沖縄と核」は20日午前0時10分から、NHK総合テレビで再放送する。