【東京】米軍普天間飛行場移設に伴う名護市辺野古での新基地建設を巡り、防衛省は27日、護岸工事に使う石材などの資材を海上から搬入する方向で検討していることを明らかにした。石材の海上搬入は初となる。省内で開いた環境監視等委員会(委員長・中村由行横浜国立大学大学院教授)で委員に説明した。米軍キャンプ・シュワブゲート前では反対する市民の抗議活動を避け、大量の資材を海上から搬入することで工事の加速を狙う。ただ、今後の建設予定海域では絶滅危惧種のサンゴが見つかっており、海上搬入による影響が懸念される。
防衛省によると、資材を載せた台船をけん引船でえい航し、現在建設中のK9護岸に接岸して搬入する。台船1隻当たりダンプカー約190台分の資材運搬が可能となる。防衛省は、陸上運搬が辺野古集落に影響を及ぼしているとし、「大気汚染や騒音、振動などの環境負荷が軽減される」と主張する。
海上運搬する資材の使用が予定されているのは土砂投入に向けて建設する辺野古崎南側のN5、K1護岸の造成工事。工事は10月にも開始する方向で準備を進めている。
ただ、27日の環境監視等委員会では、N5、K1護岸の間の海域で環境省のレッドリストに掲載されている絶滅危惧種のサンゴ「オキナワハマサンゴ」が見つかったことも報告された。
沖縄防衛局はこのサンゴを同じ種類のサンゴが生息する別の場所に移植することを計画している。ただ、護岸建設で破損する場所にはサンゴはないとして「影響がないように工事を進める」とし、工事を続行する方針を示している。
委員会で提示された資料では、海上運搬による陸上での環境負荷の軽減が数値で提示された。だが、作業船航行による海での影響はジュゴンやウミガメとの衝突回避などが記載されているだけで、サンゴ類への影響は検証されておらず、委員から「影響がないように」と指摘する声があった。
防衛省は海上搬入について、公有水面埋立承認願書に添付された環境保全のために行う措置を記載した図書「環境保全図書」で「海上運搬及び陸上運搬により施工区域に搬入」と明記しているとして、工法変更には当たらないとしている。