白イモ新品種 さまざまに着色可 農業センター、沖縄の土産品に広がり期待


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ペースト加工した白色の新品種(中央)と、「ちゅら恋紅」(左)、「備瀬」

 沖縄県農業研究センター(糸満市)は、白色のサツマイモの新品種「沖育09―8―14」を開発した。県内のサツマイモ生産量約4300トンのうち8割以上が紅イモ品種で、残り2割は黄色のイモ。白色の新品種はまさに“異色”だ。紅イモは菓子加工用として栽培が盛んだが、白色イモはマンゴーやウコンなどとの組み合わせでさまざまな色に着色でき、沖縄の観光土産品の多様化につながることが期待される。

 新品種はペースト加工に適した粉質の実が特徴で、食味は甘さ控えめ。1株当たりの個数も多く、1アール当たりの収穫量は県内で最も栽培されている紅イモの品種「ちゅら恋紅」と比べて約1・6倍(春植え)と収量が多い。

白色のサツマイモの開発を担当した県農業研究センターの謝花治主任研究員=26日、糸満市の同センター

 県内で収穫されたサツマイモの7割以上はペーストなどに加工され、タルト菓子といった食品の原料になっている。

 紅イモの鮮やかな紫色は数ある食品の中でも個性のある色彩として人気だが、菓子メーカーからは多様な商品開発に向いた品種を求める声もあった。着色が容易な新品種の白色ペーストができれば、色彩の選択肢が増える。

 新品種の白色イモは、1996年度に県が奨励品種に選定した黄色イモの「こがねゆたか」が自然交雑した種子から育成した。県農業研究センターは県産農産物のブランド力強化に向けて、本年度から農家へ種苗の配布を始めた。当面は10ヘクタールの生産を見込み、従来の加工用と同程度の1キロ当たり約140円で販売できると想定している。

 開発を担当した同センター作物班の謝花治主任研究員は「今は小さなニーズかもしれないが、これまでにない展開の可能性がある新しいタイプのイモだ」と生産拡大に期待した。
(大橋弘基)