自分の殻を破った半年 笑顔あふれる社会を創る人になりたい Ryukyufrogs9期生リポート「今を壊せ。〜CREATE THE FUTURE~」 Vol.5


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Ryukyufrogs9期生レポート 「今を壊せ。〜Create The Future~ 」

 社会課題を解決するノウハウと技術、起業家精神を身に付けた「ハイブリッド人財」の育成をするプロジェクト「Ryukyufrogs」。選抜学生は約半年間、課題解決に向けての考え方や英語を学び、シリコンバレー研修などを通して自身のサービス案を構築します。

 ことしのメンバー9期生はシリコンバレーで何を感じてきたのか、社会にどんなイノベーションを起こそうとしているのか、そしてどんな自分に成長していきたいと描いているのか。12月17日、成果発表会「LEAP DAY(リープデー)」の舞台に立つ7人の思いをご紹介します。

 

自分の殻を破った半年
笑顔あふれる社会を創れる人になりたい

異文化×Tech
田村歩葉
(沖縄県立宮古高校3年)

 

―今、Ryukyufrogsに参加している時の自分は、どんな気持ちですか?
 

田村

 私にとってRyukyufrogsは、成長していける場であり、自分が思うままに頑張れる場です。

 参加する度に自分の考えというものを塗り替えて成長していけるので、参加時はいつもワクワクしています。それと同時に、自分と向き合う場でもあるので、少し怖いと思うこともあります。
 

 

―Ryukyufrogsに参加しようと思った理由やきっかけを教えてください。
 

田村

 参加のきっかけは、留学を考えていた私に母がRyukyufrogsの存在を教えてくれたことです。

 参加を決めた理由は、高校3年生になってから、自分の進路について深く考えていくうちに、自分が何をしたいのかわからず、まだ何も知らないということに気付きました。

 もっと何かに挑戦したい、未知の体験をしてもっと視野を広げたいと思い、Ryukyufrogsなら沖縄を支えている方々と直接話せる機会があるし、シリコンバレーという未知の世界に飛び込むことで自分を成長させられると考えたからです。

 

サービス案を紹介して意見をもらうピッチに挑戦する田村歩葉さん(右)=8月18日、アメリカ・カリフォルニア州サニーベール

―シリコンバレー研修などを通して会った人の中で、誰の生き方や話に刺激を受けましたか? どのように感じたのか教えてください。
 

田村

 シンギュラリティ大学のレボレド・ジョバンさんの話に刺激を受けました。シンギュラリティ大学では課題に対して、多方面から集まった人々と協力することで解決を図っています。

 講義を受ける中で、最新技術についてのレクチャーを受け、今まで知らなかったAIやITの可能性を知り、将来に対する期待が高まりました。

 そこでジョバンさんがおっしゃっていたことが「パッションが大事」ということです。どんな課題に取り組むにしろ、そこには強いパッションがないと問題は解決できません。

 情熱を持って取り組むことの大切さにあらためて気付かされ、これからはもっと自分の好きだと思うことを探してパッションを大事にして生きたいと感じました。

 

―研修を進める中、Ryukyufrogsに参加する自身の変化をどう感じていますか?
 

田村

 Ryukyufrogsに参加する以前は、周囲の目を気にして「自分」という狭い殻に自分を閉じ込めていたり、考えても答えが出ないし、精神的に苦しくなってしまうからと、物事を深く考えることをやめがちになっていました。

 今は、同じように頑張れる仲間がいて、自分をありのままに出すことができるRyukyufrogsという環境に身を置くことで、自分を出すことを恐れずに行動できるようになり、考えることを恐れずに常に考え続けることができるようになりました。

 この変化のおかげで、自分に少しづつ自信がつき、前よりも学校の授業等、さまざまな面で積極性を持って取り組めるようになったので、今は多少なことには動じない精神力が付きました。
 

―これから、どんな自分になりたいですか?
 

田村

 Ryukyufrogsを通して、物事に対して積極的に動けるようになり、自分らしさというものを出せるようになったため、保守的だった過去の自分に負けることがない人になりたいです。

 また、Ryukyufrogsに参加して気付いた「人の笑顔がとても好きだ」という点から、周囲の人の笑顔を守れるような人になりたいと考えています。
 

9期生の鶴町理乃さん(左)と古石華子さん(右)と笑顔を見せる田村歩葉さん=8月19日、アメリカ・カリフォルニア州サニーベール

―「異文化×Tech」をテーマにサービス案を開発していますが、そのサービスは社会にどんなイノベーションを起こしますか?そしてそのサービスに対する思いを教えてください。
 

 

田村

 私たちが提案するサービスを利用して成長していった子どもたちが社会に出る時をイメージしながらサービスを開発しています。

 つまり約15年後の社会には、自分に自信が持ち、他者に優しくなれる人が増えていく、というイノベーションを起こします。

 このサービスを通して私たちは、親子間のコミュニケーションを増やします。

 そして、人が人にもっと優しくできる世界を作ります。人の優しさから笑顔が生まれ、より多くの人が笑顔に、争い合うことがないような社会の形を実現していきたいです。
 

プロフィル

 

学校名 学年

沖縄県立宮古高等学校3年

将来の夢・目標

多くの人が笑顔になれるような社会を実現すること。

英検2級取得!


田村歩葉さんと9期生の仲間と
レボルド・ジョバンさんのセッション

 

レボレド・ジョバンさんにAI(人工知能)の可能性などについて聞く田村歩葉さん=8月15日、米カリフォルニア州のシンギュラリティ大学

 シンギュラリティ大学は世界的な課題に、エクスポネンシャルな技術をもって解決を解決を図るリーダーの研究施設。レボレド・ジョバンさんは、沖縄にある沖縄科学技術大学院大学(OIST)を経て、シンギュラリティ大学でAI(人工知能)などを研究しています。

 Ryukyufrogs9期生から、AI(人工知能)の可能性やシンギュラリティ大学のプログラムについて、たくさんの質問が上がりました。

 

 

ジョバンさんの生い立ちと経験
 

ジョバンさん
「皆さんの興味のある技術は?」

福田礼緒さん
「脳科学に興味がある」

川満歩貴さん
「いつ、どのきっかけでAIに興味を持った?」

ジョバンさん
「子どもの頃、パソコンを使って興味を持ったのが始まり。高校時代に少しだけAIを使った。日本に来た時に金沢大学で研究室に入って。でも子どもの頃かな?」

鶴町理乃さん
「AIのどんなところに魅力を感じている?」

ジョバンさん
「人間の考える範囲から物を作ることに興味を持っている。6歳、7歳から作りたかった」

古石華子さん
「6、7歳の頃にどのようにAIを知った?」

ジョバンさん
「その頃は本当のAIじゃない。プログラミングで。当時はスペイン語しか話さなかった。その頃はメキシコはパソコンがなかったが、パソコンをもらった。もらったパソコンは英語。英語を勉強しながらプログラミングを勉強した。英語は16、17歳で勉強した」

川満歩貴さん
「子どもの頃からいろいろやっているので自分の技術に自信があると思うのですが、どの段階で自分は自信を持ったんですか?」

ジョバンさん
「技術は必要になるけど、まずパッションは大事。パッションが必要」

 

研究施設の3Dプリンターを見学するRyukyufrogs9期生=8月15日、米カリフォルニア州のシンギュラリティ大学

AI(人工知能)の今後の可能性について

 

 Ryukyufrogs9期生からはコンピュータやAIの能力が人間の能力を越えるといわれる「2045年問題」などについて質問が上がりました。

 ジョバンさんは、AIを開発している現段階から、人間の力、民主的な考え方、創造力を養う必要性を語りました。
 

川満歩貴さん
「AIが30年後人間を超える。今にないインフラって何が考えられますか?」

ジョバンさん
「AIオフィス。今はインターネットを使うオフィスだけど、AIオフィス」

田村歩葉さん
「AIが感情を持つんですか?」

ジョバンさん
「AIが感情を持つことはない。いい感情を持つ人間はいいことできる。悪い感情を持てば悪いことをする。プログラミングは現状では感情を構築することはできない。AIが悪くなるのは2つ。質の悪いデータベースを入れること。もう1つは悪い人が使うこと」

田村歩葉さん
「AIが制御不能になるということは人間が操作できなくなるということですか?」

ジョバンさん
「そう。AIが30年たって良くなったら、AIの方が情報処理が早ければ人間はいらないと判断される可能性はある。でもそれは1つの可能性でしかない」

鶴町理乃さん
「AIが自分で自分を進化させることがあるんですか」

ジョバンさん
「私がちょっと怖いと思っているのはAIが自分で自分をコピーするようになること」
 

 この他にも、遺伝子操作の話や既に世界の普及しているサービスの話を聞いたRyukyufrogs9期生。技術の進歩に戸惑いと驚きを見せながらも、テクノロジーのダイナミックさを実感したセッションになりました。

 レボルド・ジョバンさんは9期生が取り組む課題解決について「問題は日本にあるもので、かつ世界にある問題を考えた方がいいと思う。沖縄だけでなく、世界で」とアドバイスをしました。
 

~ Ryukyufrogs LEAP DAY 2017 ~
「今を壊せ。Create the Future 」

◇開催日:2017年12月17日(日)

◇時間:午前10時半~午後6時(午前10時オープン)

◇場所:さわふじ未来ホール(沖縄県西原町字与那城140-1)

◇参加費用:学生は無料、ほか前売料金:¥2,000、当日料金:¥3,000Peatixより、前売り購入ができます)

◇詳しい情報や事前申し込みは、Ryukyufrogs のLEAP DAY 2017特設サイトから

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