赤茎ターンム復活 南城市の久手堅さん「絶滅寸前」種を増産


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収穫された(手前)赤茎ターンム。(奥の)白茎ターンムと並べると、色の違いがはっきり見て取れる=南城市大里字大城

 【南城】一部農家の間で「絶滅寸前」といわれる「赤茎ターンム(田芋)」がこのほど、南城市大里字大城にある久手堅豊さん(61)の畑で収穫された。約200坪分、1500キロ以上の赤茎ターンムが、かごに山積みにされた。市内の農家らによると、市場に流通しているのは、ほぼ白茎のターンム。久手堅さんは「ターンムといえば『南城市の赤茎』といわれるようにしたい」と意気込んでいる。

 赤茎ターンムは白茎と比べると香りが強く、細長い形で、色の違いもはっきりしている。ただ一度ふかすと、ほとんど同じ色になるという。かつて南城市では、赤茎ターンムが多く収穫されていたが、サトウキビに転換する農家が増え、次第に見られなくなった。

久手堅 豊さん

 「子どもの頃は、よく赤茎ターンムを食べていたよ」と話す久手堅さん。そんな赤茎ターンムに再会したのは2年前のこと。偶然、南城市知念字志喜屋で個人農家が小規模栽培していることを知った。「もう一度、当たり前のように赤茎ターンムを食べられるようにしたい」と考えた久手堅さんは、株を少し分けてもらい、1年目は種芋となる小芋を増やし、2年目から本格的に栽培を始め、3年目となる今年、1500キロを収穫した。

 久手堅さんの収穫した赤茎ターンムは、市内で既に加工品にも使われており、「焼きたてパンとケーキの店みなもとや」(宮城源幸代表)では、田芋パイや季節限定の菓子作りに使っている。また市内のホテルや飲食店でもさまざまな試作品が作られている。

 久手堅さんは今後、赤茎ターンムの安定供給を目指して少しずつ規模を拡大していく予定だ。「今回の収穫は、南城・赤茎ターンムの里計画の第一歩だ」と、力を込めた。