くらし

沖縄の「女性活躍」を支える3つのモデル 妊娠~職場復帰まで切れ目なく

 女性の活躍推進が注目される中、沖縄県女性就業・労働相談センターは「女性が働き続けられる職場づくり支援プログラム」を本年度実施した。妊娠から職場復帰後までの切れ目ない支援を掲げ、「モデルケース」に選ばれた企業や事業所計9社の取り組みは他へのヒントにもなりそうだ。(大城周子)

 プログラムの流れは▽50項目の質問に経営者・管理職と従業員の双方が回答▽回答を基に診断表を作成、課題を洗い出す▽社会保険労務士ら専門家のサポートを受けて計画を策定・実施-となる。仕事と子育てなど家庭生活を両立するための制度が不十分、情報の周知や問題共有ができていないなど、それぞれの課題に対して6月から11月まで実効性のある対策を進めた。

 参加したのは前田産業(前田産業ホテルズ)、社会医療法人かりゆし会、アンカー商事、冒険王、社会福祉法人さくら会さくら保育園、沖縄子育て良品、レキオスソフト、うえざと木工、下地診療所の9企業・事業所で、11月27日には成果報告会も行われた。

モデルケース1 かりゆし会 上司改革で離職率減
 


職員用の更衣室と休憩室の出入り口付近に設置された投書箱。横には就業規則やハラスメントなどの相談窓口が一目で分かる一覧表も掲示されている=6日、西原町のハートライフ地域包括ケアセンター

 ハートライフ病院などを運営するかりゆし会は、地域包括ケアセンターでプログラムを導入した。同会は県のワークライフバランス認証企業で子育てや介護に関する休業・休暇制度の取得実績もあったが、介護職の離職率の高さが課題だった。同会人事課の比嘉康文課長は「法人として本気で取り組む姿勢を第三者の介入という形で示し、離職を防いで男女かかわらず働きやすい環境につなげたかった」と参加理由を説明する。

 離職の理由は「職場の人間関係」が多く、要望や不安、不満が共有されにくい環境が背景にあった。まずテコ入れしたのは「上司」の意識改革で、部下との信頼関係の築き方を学ぶ役職者研修を開催。現場の声を吸い上げるため部署ごとの会議や投書箱の設置もした。宮平典子センター長は「マネジメントの意識が高まった。スタッフの意見に耳を傾け、自分たちで現状を変えようという雰囲気がある」と効果を語る。

 給与や手当アップなど待遇改善にも取り組み、4~12月の離職率は昨年の30・6%から19%まで減った。比嘉課長は「新しく人を入れることよりも今いる人を大事にする。キャリア形成の支援も充実させたい」と語った。

モデルケース2 沖縄子育て良品 育児カレンダー作成
 


 南風原町に店舗を構え、天然素材の子育てグッズなどを販売する「沖縄子育て良品」は2004年に開業し、現在は従業員14人全員が女性だ。そのほとんどが子育て中のお母さんだがこれまでは産休・育休の対象となる人がいなかった。今年初めて対象者が出たことをきっかけに、産前産後・育児・介護休業制度の内容を詳細に記したマニュアル作成と、就業規則の整備に取り組んだ。

 オリジナルの「おめでとう育児カレンダー」=写真=を作り、妊娠出産から育児期まで、いつどんな準備や手続きが必要か、申請先はどこかなどが一目で分かるようまとめた。

 自身も3人の子を持つ野添かおり代表取締役は「安心して働ける職場なら長く働いてもらえて、企業にとっても人材確保につながる」と語った。

モデルケース3 冒険王 情報共有 安心の休日
 


 求人情報誌「ジェイウォーム」の発行などを手掛ける冒険王は「みんなが仕事を心配しないで休みが取れるようにしたい!」をテーマにした。

 週刊の締め切りに追われる中、担当ごとの業務内容の共有が課題だった。例えば子どもが急に体調を崩して担当社員が急に休んだ場合、顧客から問い合わせがあっても普段から引き継ぎがされていないために別の社員では対応できない。そこで注目したのが、顧客の基本情報や進捗(しんちょく)情報を記入する「カルテ」だ。

 既存の仕組みながら活用できておらず、重要性の共有を図った。全社員が参加して「カルテに入力できない」という特性(問題点)の要因(原因)を系統的に表す「特性要因図」=写真=を作成。改善点を明確にし、カルテの仕様を修正するなどした。

 支援プログラム実施を担当した仲村渠由美子さんは「全員が取り組んだことで各自に意識付けできた。また、社内だけだと『いつか…』と先延ばしにしていたかもしれないが、外部の人が入ることで背中を押してもらった」と意義を語った。

取り組み事例をセミナーで報告
 

 県女性就業・労働相談センターは、「女性が働き続けられる職場づくり支援プログラム」の取り組み成果を紹介するセミナーを開催している。モデル実施対象となった9社の事例報告や、企業・事業所に望まれる取り組みについて専門家による講演がある。

 受講無料だが、事前申し込みが必要。申し込みと問い合わせは同センター(電話)098(863)1788。詳細はホームページでも紹介している。

 日程と定員は次の通り。

●12月13日午後2~4時、石川地域活性化センター舞天館(定員30人)
●1月25日午後2~4時、石垣市健康福祉センター(同30人)
●2月5日午後1時半~3時半、三重城合同庁舎(同50人)
●2月8日午後2~4時、宮古島市働く女性の家



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