辺野古環境変化「極めて小さい」 防衛局、沖縄県アセス審に説明


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 名護市辺野古の新基地建設事業を巡り、沖縄県は22日、県環境影響評価(環境アセスメント)審査会(会長・宮城邦治沖国大名誉教授)を宜野湾市内で開いた。2014年7月の事業着手以降、審査会開催は初めて。事業者の沖縄防衛局は14~16年度の事後調査結果を項目別に説明した上で「事業に伴う環境の変化は極めて小さい」など環境負荷はほとんどなかったと結論付けた。一方、委員からは防衛局の提示する調査内容や資料だけでは「工事による影響がない」と断定する科学的根拠が不十分だと指摘する声が多数上がった。

 事後調査報告書によると絶滅危惧種のトカゲハゼ(成魚)の生息調査を当初年4回としたにもかかわらず、実際は1回しか実施していない。陸海域動物に詳しい立原一憲琉球大准教授は「調査項目を十分履行せずして工事の影響は判断できない」と、防衛局の判断根拠の欠如を指摘した。

 サンゴの調査地点の選定基準に関する委員の質問に対し防衛局は「環境監視等委員会の指導を受けた」と述べるにとどめ、詳細な説明を避けた。宮城会長は委員会の設置意義が辺野古の環境保全担保措置だと強調した上で「少なくとも監視等委員会で報告された事案は報告書の中に配慮されるべきだ」と指摘した。

 地下水の水質調査については水位の変動がなかったため、実施されなかったことが報告された。小野尋子琉大准教授は県内の基地周辺河川で相次いで有機フッ素化合物(PFOS)が検出されている件に触れ、「工事前の数値を把握していなければ事後と比較できない」とし、環境状況の推移や変化をデータで記録するべきだと提言した。