又吉健斗、世界へ跳ぶ タンブリングと体操 成長実感


この記事を書いた人 Avatar photo 島袋 貞治
タンブリングと体操で全国、世界へ挑む又吉健斗=2017年12月30日、うるま市のケンケン体操教室

 トランポリン競技の一種で長さ25メートルの床で8つの技を連続で行うタンブリング。2017年11月にブルガリアで行われた第25回世界年齢別トランポリン選手権大会のタンブリング日本代表となった又吉健斗(17)=沖縄県北中城村出身、島袋小―具志川東中―静岡・磐田東高2年=がシニアの選手もいる中で13位に入った。6歳で体操とトランポリン、小学6年生でタンブリングを始めた。中学までは県内から国内外の大会の表彰台に上がった。さらなる高みを求め、県外の高校へ進学。初めての長期のけがもあり、競技を離れることも考えたが、全国そして世界で戦うことを目指し、日々練習に励む。

◇日に日に成長

 4歳上の姉・幹奈さんの影響で体操とトランポリンを始めた。父・健一さんが代表を務めるケンケン体操教室で練習を重ね、12年には体操の12歳以下の全国大会で種目別ゆか3位、トランポリンは九州大会を6連覇する実力者となった。小学6年生の時にタンブリングと出合った。動画を見て、ダイナミックで迫力ある技にくぎ付けになった。健一さんの「日本代表を目指せる」との助言でタンブリングの練習を始め、13年の世界年齢別選手権大会では13―14歳の部で12位となった。

 さらなる競技力向上を目指していた又吉の元には多くの県外高校からスカウトの話があったが、体操とタンブリングの強豪・静岡産業大学で練習ができる磐田東高校への進学を決めた。地元を離れて初めての生活に当初は慣れないこともあった。静岡産業大学の学生と一緒の練習や、タンブリング現役選手の指導に「日に日にうまくなっているのが実感できた」と手応えを得ていた。

◇けがにも「諦めない」

 高校1年生の年末にハプニングが又吉を襲った。オーバーワークのしすぎで腰辺りの骨の疲労骨折で約4カ月間練習ができなかった。初めての長期のけがに、体操そしてタンブリングを辞めることを考えたが、一緒に練習する大学生やコーチと相談し、「まだできることがあるのにここで諦められない」と前を向いた。

 練習器具を触れない間は体幹などの強化に時間を割き、17年3月に本格的な練習を再開した。体操で全国総体には出場できなかったものの、11月には世界年齢別トランポリン選手権大会でシニアの選手も出る17―21歳のカテゴリーで13位になった。又吉を指導する杉浦正隆コーチは「空中感覚のセンスがあり、技術が身につけば世界でも上位を狙える」と語る。

◇初の高校総体へ

 もともと飽き性という又吉だが、体操もタンブリングも技の組み合わせが多彩で、技ができたときの達成感に夢中になった。健一さんは「選手として日本や世界に挑戦し、ゆくゆくは沖縄で指導者をしてほしい」と期待を寄せる。

 ことしの全国高校総体の体操競技は静岡県で開催される。これまで全国高校総体に出場できていない又吉にとっては、最初で最後の挑戦だ。体操やタンブリング選手としては長身の170センチを生かしたダイナミックな美しさに加えさらに技の難度を上げていく。

 「(全国高校総体は)挑戦者の気持ちで自分の力を出し切り、タンブリングではシニア選手にも通用できるようにレベルアップしたい」と意気込む。高校最後の年に2種目でさらなる飛躍を誓う。(屋嘉部長将)