企業主導の保育所、沖縄県内で増 2年で32施設 「地域枠」設け待機児対策も


この記事を書いた人 アバター画像 島袋 貞治
沖東交通のタクシー乗務員やスタッフらが子どもを預ける企業主導型保育所「オレンジキッズランド」=2017年12月27日、那覇市首里石嶺町

 内閣府が2016年4月に開始した補助金制度を活用し、企業が事業所内や商業施設内などに設置する「企業主導型保育所」が沖縄県内でも増えている。県によると初年度の16年度は県内に17施設が設置された。17年度も相次いで設置され、10日までに32施設が設置されている。事業所内に保育所が設置されるため、働きながら子育てをする従業員にとって利便性が大きい。都市部を中心に深刻化している待機児童対策への効果も期待される。

 企業主導型保育所は、認可外保育所に分類されるが、子どもに対する保育士の人数など一定の基準を満たすことを条件に、施設整備費や運営費で認可保育所並みの助成金を受けられる。夜勤や土日勤務、短時間勤務など働き方に応じ、多様で柔軟な保育を提供できるのも特徴だ。単独で設置する例もあれば、複数の企業が共同で設置し、共同で利用することもできる。

 自社の従業員の子どもを優先して受け入れつつ、定員に空きがある場合は従業員以外から受け入れる「地域枠」も設定でき、地域貢献にもつながる。

 県内の企業主導型保育所は、タイム・アロー八重山の「ひばりの保育 石垣のいえ」、社会医療法人かりゆし会の「はーとらいふ保育園」(中城村)など。本格的な運営はこれから開始する保育所も含め、15市町村に32施設がある。

 このうち沖東交通は17年2月、県内タクシー業界で初の企業主導型保育所「オレンジキッズランド」を同市首里石嶺町に設置した。

 月額の保育料は会社が2万円を負担し、保護者の自己負担は0歳児は1万5千円、1~4歳児は1万円だ。現在は0~4歳児が計23人在籍する。保育士や事務員ら15人(2人は育児休暇中)が運営を担う。

 同社で昨年10月から乗務員として働く宮城友美さん(34)=西原町=は、長男の力也ちゃん(4)をオレンジキッズランドに朝7時半に預け、仕事を終えた午後5時ごろには迎えに行く。母子世帯の宮城さん親子は町から一人親家庭への支援もあるため、保育料の自己負担は事実上ない。子どもの体調が悪い時も、会社が把握できているため、休みやすい環境にもあるという。

 宮城さんは「アレルギーもあるが、丁寧に見てくれて助かる」と話し、残業の際には「午後8時まで延長保育もあるのでありがたい」と笑顔を見せた。

 同社で事業所内保育園事業室長を務める幸頭(こうがしら)勇人企画部長は「ドライバーは、年配が多いが、保育園ができてから20代、30代の方も以前より入ってくるようになった。お母さんだけでなく、若いお父さんもいる」と効果を語る。

 課題について幸頭室長は「今後も同じように園児が集まるのかや保育士の確保、維持ができるかだ」と挙げ、園児が減った場合は地域枠の拡大も検討するとした。(古堅一樹)