社会

「カメジロー」ロングラン 桜坂劇場 5ヵ月で1万7000人

映画「米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロー」のポスター

 米統治下で圧政と闘った故瀬長亀次郎氏(1907~2001)を描いたドキュメンタリー映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」が那覇市牧志の桜坂劇場で異例のロングランを続けている。上映開始から12日で5カ月となった。観客動員数は1万7千人を超え、同劇場の歴代1位の座をうかがう。ヒットの背景には、日本政府が名護市辺野古の新基地建設を強行する中、「不屈」と表現される瀬長氏の生き方への共感がありそうだ。

 「カメジロー」は貴重な映像や証言を交え、米軍に対峙(たいじ)した瀬長氏を描いている。TBSの佐古忠彦さん(53)が初めて監督を務めた。

 昨年8月12日、桜坂劇場で上映が始まり、今年1月5日現在、1万7513人が鑑賞した。2005年の劇場オープン以来、BEGINの青春時代を下地にした「恋しくて」(07年)の2万741人に次ぐ観客数。自主上映なども含めると2万923人に上る。

 4日、正午すぎの時間帯に21人が鑑賞した。那覇市の津野藤子さん(81)は「土地代の一括支払いに対する抗議など、若い頃を思い出した」。自身はずっと自民党を支持してきたといい「瀬長さんは県民のために闘った。決して諦めない姿に共感した」と話した。

 桜坂劇場の下地久美子さん(38)はヒットの要因を「瀬長氏が持つ功績や独特の存在感」とし、「社会派のドキュメンタリー映画とは客層が全然違う。若者らがウチナーンチュとして、亀次郎氏の生きざまを心にとどめておくことが必要だ、と感じているようだ」と指摘した。

 沖縄大学名誉教授の新崎盛暉さん(81)=沖縄近現代史=は「上映中に拍手する人もいた。瀬長氏と共に生きた時代への共感と、社会への共鳴があるのではないか。当時は米軍支配、今は日本政府への反発がある」と分析した。

 配給元によると、1月5日までに全国55劇場で公開され、約6万人が来場している。

 舞台あいさつで各地を回る佐古監督は「沖縄は戦後日本の矛盾を背負ってきた。映画を通し、この国の在り方を考えるきっかけになればいい」と期待した。映画に出演した瀬長氏の次女、内村千尋さん(72)は「日本政府が辺野古の新基地建設を強行する中、『諦めない。不屈』の亀次郎精神が今、求められているのではないか」と話した。

 桜坂劇場は2月以降も上映を続ける予定。(真崎裕史)