紅麹から天然着色料 食品に使用 先端医療開発が成功


社会
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紅麹色素を使った天然着色料をPRする先端医療開発の(左から)松原正東社長、平野隆取締役、原敏夫取締役、永井朋子取締役=22日、那覇市泉崎

 うるま市に研究所を持つ先端医療開発(福岡市、松原正東社長)は、豆腐ように使われる紅麹(べにこうじ)を原料にした赤色の天然色素開発に成功した。めんたいこやハムなどには製造過程で赤色の合成着色料や発色剤が使われているが、健康志向が高まる中、代替品として紅麹由来色素のニーズが高いと見て、同社は沖縄で製造した着色料の海外展開も視野に進めていく。

 県の沖縄科学技術イノベーション共同研究促進補助金を活用し、琉球大やめんたいこメーカーのふくやと共同開発した。

 同社は紅麹をパウダー状にして50~100ナノメートル(ナノは10億分の1)の粒子にした。ナノ単位の大きさにすることで浸透力が高まって色むらがなく、均一に着色できるようになった。

 紅麹自体に他の菌の繁殖を抑える抗菌作用があり、発色剤を使わなくても既製品と同等の保存期間を維持できる。

 従来、赤色の合成着色料と発色剤の亜硝酸ナトリウムは辛子めんたいこのほか、ソーセージ、ベーコンなどの食肉加工品、イクラなどに幅広く利用されてきた。

 亜硝酸ナトリウムは赤色を維持し、食中毒の原因となるボツリヌス菌の増殖を抑える効果があり、使用基準が定められた上で食品添加物としての使用が認められている。

 先端医療開発で研究開発を担当する原敏夫取締役は「ナノ粒子化することで色むらや色あせなどの課題を解決できた。この技術を使えば幅広く活用できる」と語った。

 紅麹色素のめんたいこは既に食品メーカーが3月にも事業化を予定しているほか、ハムやソーセージの試作を進めている。紅麹を食用に使うことは中国や一部の東南アジア地域などで認知されており、これらの地域でも輸出が可能とみる。

 松原社長は高単価で売れる沖縄からの出荷に適した商品だと強調し「消費者の健康志向が高まる中、沖縄で伝統的に使われてきた紅麹菌をナノ化し、沖縄発、世界初の安心安全な食品素材として発信したい」と意欲を語った。