沖縄戦の際、住民疎開に尽力し多くの命を救った当時の県知事・島田叡氏や県警察部長・荒井退造氏の足跡をたどる舞台演劇「島守のうた~あした天気にしておくれ」が3月10、11の両日、那覇市牧志のテンブスホールで上演される。沖縄戦当時に県庁壕があった繁多川地域を区域とする繁多川公民館を運営するNPO法人「1万人井戸端会議」が主催。同公民館が県庁壕を調査してきた成果や証言を基に脚本化した。プロの役者と地元の中高生が共演し、戦争体験の継承につなげる。
今後、島田氏の出身地・兵庫県神戸市や、荒井氏の出身地・栃木県宇都宮市での県外公演も計画する。地元の石田中学校の学習発表会でも導入を予定している。公演活動に向けた資金をインターネット上のクラウドファンディングで3月5日まで募集している。
繁多川公民館の南信乃介館長(1万人井戸端会議代表理事)は「あれだけの戦争を経験した沖縄は、平和な社会を構築する役割を果たさないといけない」と舞台化に込めた思いを語る。
島田知事役の西平寿久さん(34)は「(島田氏は)戦時中でも冷静で、人命を大切にしていた」と人柄を熱演する。
市内の中高生約10人が出演者や裏方で協力する。小道具の準備や製作を担当する那覇高校2年の大湾帆夏さん(17)と具志堅夏穂さん(17)は「行政側から見ても、戦争は繰り返してはいけないと感じる」「全ての世代に見てほしい」と呼び掛けた。
開演時間は10日が午後7時、11日は午後1時と午後6時で計3回上演する。問い合わせは繁多川公民館(電話)098(917)3448。(古堅一樹)