[ココロ・カラダ不思議つながり]49 デートDVは、愛してる証拠?


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Q.デートDVは、愛してる証拠?

 

 今日の質問や意見は、
「デートDVの男子の被害ってまれですよね?」
「友だちにはやりすぎなところもあると思いますが、それだけ愛せる相手がいるのは正直うらやましいです」
「ドラマで見たんですが、別れるなら死ぬと言うのって、どうなんですか?」

 です。中学3年~高校2年のみなさんからです。

A.どんな理由でも暴力許さない

 

 私が所属するウィメンズネット・こうべで行った高校生への調査では、付き合った経験のある女子の3人に1人、男子の5人に1人にデートDVの被害経験がありました。男子もあらゆる暴力に遭っています。

 あなたも友だちはやりすぎだと感じているよね。それを「深く愛している証拠」とうらやましがるのは、メディアの影響かな。デートDVが起きているのに見て見ぬふりをすることは、加害に味方することになります。どんな理由があっても暴力は許さないという認識を共有することが大切です。

でも、子ども同士で暴力を止めるのは難しいので、おとなに相談してください。2月26日に紹介したデートDV110番を利用してもいいですよ。自分のことではなく、友達のことを相談してもOKです。

 ドラマの話ではなく、実際に目の前で「別れるなら死ぬ」とリストカットされたという相談もあります。「別れるならあなたを殺す」とナイフを向けられたら暴力と分かりやすいけど、こういうことは戸惑いますよね。恋人にリストカットされると、「こんなに愛してくれているのに、相手につらい思いをさせてしまった自分が悪い」と勘違いしやすいですが、これは脅迫という心への暴力です。
 

 このようなこと以外にも、別れるときは暴力がひどくなることが多いので、注意が必要です。デートDVで別れるときは、相手の合意は要りません。会わずに電話やメールで別れを告げてもいいです。でも、もし会うときは、2人きりにならないよう昼間、人の多いお店などを選び、必ず誰かと一緒に行きましょう。

徳永桂子(とくなが・けいこ) 思春期保健相談士。

 心が生きると書く「性」、心が生きて交わる・お互いの心を生かして交わると書く「性交」の漢字の通り、子どもたちがありのままの自分を肯定できるように。豊かなパートナーシップを築けるように。みんなで明るく肯定的に性について語れたらいいなと思って活動中。

 新報小中学生新聞に「ココロ・カラダ不思議つながり」を連載中。著書に「からだノート~中学生の相談箱」(単著)「LGBTなんでも聞いてみよう~中・高生が知りたいホントのところ」(共著)など。
 

~ この連載が本になりました ~

ココロ・カラダ不思議つながり

 
徳永桂子・著/上原明子・イラスト
A5変型判 128頁(オールカラー)

¥1,250(税抜き)