沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は16日、南風原町の南風原文化センターで沖縄戦と海外戦没者遺骨のDNA鑑定の集団申請に向けた説明会を開いた。集団申請は昨年に続き2度目になるが、今回は海外戦没者の遺族にもDNA鑑定申請を初めて呼び掛けた。説明会で具志堅さんは戦前、南洋諸島に沖縄から多くの移民が渡ったことに触れ、「沖縄から声を上げなければいけない」と申請を呼び掛けた。
沖縄戦戦没者の遺骨のDNA鑑定は、これまでに個人やガマフヤーを通じ、約300人の遺族が厚労省に対し、申請した。厚労省は昨年7月、軍人や軍属などに限ってきた対象を民間人戦没者にも広げる方針を示し、鑑定を進める。
一方、具志堅さんの元には、家族を南洋諸島などで亡くした人からの相談が寄せられているという。具志堅さんは「沖縄と海外の戦没者遺骨のDNA鑑定を同時に進めなければ遺族はいなくなってしまう。残された時間は少ない」と語り、国を動かすためにはより多くの申請が必要だと訴えた。
参加した武島為行さん(82)はフィリピンで亡くなった父親と、沖縄戦で本島南部を一緒に逃げて亡くなった兄のDNA鑑定を申請することを決めた。「生きている間にDNA鑑定をして遺骨が分かれば幸い」と話した。新川統信さん(76)の兄は開南中から動員され、亡くなった場所も分からない。涙をこぼしながら「遺骨を探しきれていないのが心残り。見つかってほしい」と語り、顔を覆った。
具志堅さんは4月上旬にも上京し、厚労省に海外戦没者のDNA鑑定をするよう要請し、2回目の集団申請も行う。連絡先はガマフヤー代表・具志堅隆松さん(電話)090(3796)3132。